摂食障害の苦痛から解放してくれたのは、憧れの人と食べたかき氷

17歳の時、摂食障害になった。原因はうつ病の処方箋の副作用。薬に慣れて食欲を取り戻すしか他に方法はなかった。
毎日の食事が味気なく、家族と食卓を囲むのが兎に角苦痛で、時には一日中何も食べられないなんて事もあった。このままご飯をまともに食べられない生活が続くのは嫌だ。そう思った頃に、嬉しい出来事があった。
高校生最後の年の春、私は卒業レポートを書くための取材と称して、日本のマイケル・ジャクソンのファンが集うチャリティーイベントに参加した。そこで私は、マイケルのパフォーマンスの再現をしているパフォーマーの男性と出会った。
彼は本人にそのパフォーマンスを認められた、誰もが羨む人物で、憧れの人だ。初めにどんな会話をしたか、緊張していてあまり覚えていないけれど、優しくて面白い人柄だったのは記憶に残っている。
色々なお話を伺っていたその時だった。
「かき氷食べる?」
彼に突然そう聞かれ、しばし沈黙した後流されるままに頷き、屋台のかき氷をご馳走になってしまった。朝から何も食べていなかった私は、何故かここで初めて空腹を感じた。
かき氷を口に運ぶと、冷たい感触と爽やかなレモンのシロップが口の中いっぱいに広がり、身体中を駆け巡る。この爽快感はかき氷の味だけじゃない、隣にいる憧れの人と一緒に同じものを味わっているから、心が満たされているんだ。そう強く感じた。
それからは心が満たされる食事を心がけ、一日一食でも食べられるように工夫をしている。食べる事はだんだんと苦痛ではなくなってきた。
ふと、お店で「かき氷」の文字を目にすると、思い浮かぶのは憧れのあの人と食べたかき氷の味。コロナ禍が明けて皆で食事が出来るようになったら、心が満たされる楽しい食事がしたい。
あの人とかき氷を食べた時のように。
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