「え?うわあ、まじかあ。そうかあ。あー」
こう繰り返す。感嘆詞がやたらと多い。
これは私が夫の辞令直後にぼやく言葉である。
転勤族の夫との結婚。いつのまにか異動アンテナが立つほどに…
私は約2年前転勤族の夫と結婚した。
私自身、転勤族の妻になるなんて夢にも思わなかった。
転勤族のあるあるといえば、「引っ越しが大変」「家を持てない」「子供が可哀想」などなど。まさか私が当事者になるとは……。
結婚前、このような不安要素はもちろんあった。
だが幾度となく辞令を出す会社より、夫のことがもちろん好きだったし、「転勤族の妻ってデキる女」な~んて、転妻を甘く見ていたのかもしれない。
もはや結婚はギャンブルと同じだった。
夫の仕事柄、早ければ半年で異動の辞令が告げられる。
時期としては、夏と冬。
私はその季節になると、毎回妙な高揚感と不安で心臓がおかしくなるのだ。だが、3度経験したことで引っ越し手続きはもうお手の物。気にしいな性格故に時間配分は完璧でほぼ1日で終わらせられる「自称スーパー主婦」となった。
また、引っ越しがつきものだから、意識しなくとも自然とミニマリストになる。インテリアはシンプルな家具と配色になりがちで、友人からはずいぶんと好評だ。
私は今回は異動があるかも……なんて、「異動アンテナ」が自然に立つことがあり、そこから冷蔵庫を一掃しようとスイッチが入る。数日であっという間に綺麗になってしまうから一気に生活感が失われる。
夫はこの状況をお決まり文句のように「このお家は何もないねぇ」とぼやく。
私は「うるさいなあ。あなたの異動が激しいせいやん……」とぴしゃり。
夫の転勤のたびに異動。環境と人に適応する毎日は我ながらあっぱれだ
私は、元々転勤族に向いているタイプではないと思う。
どちらかといえば内向的。環境の変化に敏感で疲れやすく、人前に立つと緊張しがちである。
私は異動のたびに職場を変えざるを得ないので、枕を濡らす夜もしばしば。だが孤独にならない為には「新メンバー」と仲を深めていくしかない。毎度、私はまるでメタモンのように人に適応し環境にも適応していく。
最初は猫をかぶって自分を殺す。あとは、様子を見つつ本当の自分を出していく……。もう、家ではどっと疲れが押し寄せるんだから。我ながら、あっぱれだ。こんなことをしていくうちに、世の中に色んな人がいるんだなぁと視野が広くなっていくのだ。
そんな私の息抜きはドライブだ。
夫と休みの日によく日帰り旅行に出る。
共通の趣味である古着屋巡りをし、道の駅に行き、温泉に浸かって帰るというのがお決まりなのだが、これが本当に楽しい。
転勤族でなければ毎回こんな事出来ないのかもしれない。新しい住居先から気になる場所へ気軽にドライブ出来るなんて、本当に転勤族の特権だよな。
転勤族になって「向いている性格」を感じる。これが私の出した答え
結婚して約2年が経ち、3度の異動を経験した私。
「転勤族」との結婚、どう思う?と自分自身に問いかけてみた。
案外、悪くないかも。転勤族は経験してみないと分からないことが多かった。約2ヶ月経てば大体慣れてくるもので確かに「住めば都」になるのだ。
また、もう一生ここには来ることはないかもしれないと思えば、1日1日が貴重で些細な出来事でさえ思い出深いものになる。私は感受性が高く繊細な性格だからか、些細な出来事でさえも目に映った景色に豊かな感情を持たせ、自分なりに「華」を添えられるのだ。
私は進んで転妻になった訳ではないが、回数を重ねるごとに要領が良くなってきた。案外向いている性格なのかもな。これが私の答えだ。
今年も冬が近づいてきた。
今回は不思議と「異動アンテナ」は立っておらず心は至って平和である。
これからもいつ、どこに異動するか分からないが
一度きりの人生、楽しむしかない!と今日も腹をくくるのだった。
最後に。
夫よ!いつもお仕事お疲れ様です。
辞令前の私の心臓はドキドキしておかしくなりそうだけれど、あなたを想う私の心臓は日を追うごとに安定してきました(笑)。
これからも、お互い助け合いながら沢山笑って仲良し夫婦でいようね!