「メリークリスマース!!!」
そうやって世間の皆が浮かれる日、クリスマス。飲食店に勤めている社畜の私には縁のない日。だって、幸せそうに浮足立ってるカップルの相手をするんだもの。私には、ただの平日って言ったって過言じゃない。
「わ~!プレゼント?!嬉しい~!大好き!」
「ずっと一緒にいようね?」
店内に響き渡るカップル達の会話が甘い!甘すぎる!!甘いのはクリスマスケーキだけでいい!
……って言う毒舌な私にも幸せだったクリスマスは、ちゃんとある。人生でいちばん忘れられないクリスマスの思い出。
私をからかい、気にかける彼を好きになるのに、時間はかからなかった
それは、中学3年生のときの話。
「なーんかお前、元気ないね」
机に顔を伏せてる私に、そうやって話しかけてきのは隣の席の同級生。
「いつも元気でうるさい、しおんが暗いとクラスも静かだぞ」
そう言いながら教室を出ていく。
「う、うるさいってなによ~~!!?」
廊下の彼に向かって叫ぶと「お、やっと元気になったじゃん!」とゲラゲラ笑っていた。気にかけていてくれたのだろうか、私なんかのことを?
ここから彼のことを好きになるのに時間はかからなかった。
彼の登校して来る時間に合わせて、学校に来てみたり。メールを毎日送ったり、たまに電話をしたり、体育祭でハチマキ交換を、申し込んだり。ちゃんと、人を好きになるのは初めてだったから、毎日がとても充実していて、学校で会えるだけで嬉しかった。
「好き……」。冬休みの予定を聞いてきた彼に、思わず心の声が漏れる
季節は彼を気になり出した春から、いつのまにか冬になっていた。
「それでは、本日で2学期が終了です。明日からは冬休みなので、怪我のないよう過ごしてください」
先生の話が終わると、クラスからは歓喜の声が聞こえてくる。私は冬休みなんて、いらない。彼に会えない日が続くなんて耐えられない……。
「冬休み、何して過ごすの?」
私の気持ちなんて知らない彼が、そう話しかけてくる。あぁ、好き。ほんとに好き。
「好き……」
なんと、心の声が漏れた。
「え?」
そう彼は言っていたみたいだけど、私は恥ずかしさとパニックで走って逃げ出した。
え、え、え、待って待って待って待って!!!何やっちゃってんの、私ーーー!!どうしようどうしようどうしよう!そう思いながら廊下を走っていると、後ろから手を掴まれた。
振り返ると、彼だった。
「何で逃げたの?」
そ、そんなの言えるわけねぇだろ!!と思いながら、彼に聞く。
「さ、さっき言ったこと……もしかして聞こえた?」
聞こえてませんように。神様仏様!!!
そう願うも虚しく「聞こえたよ」と言う彼の返事。
人生初の告白が成功し、両思いになれたこの日。それが、クリスマス
終わった。聞こえてしまった。ああ、私は振られるんだ。グッバイ青春……。
「俺も好き」
あー、やっぱりそうだよね、結果はわかってた。俺も好きかー、そうかー。ん……?
「俺も好き?????!!!!え?!!」
さらにテンパっている私に彼は言う。
「だから、俺もしおんが好き。付き合ってほしい」
「ほんとに??本当に本当に??」
そう何度も確認する私に、彼は笑いながら「本当に」って言ってくれた。
人生で初めての告白が成功して、晴れて好きな彼と両思いになれたこの日。
それが、クリスマスでした。
この当時も大切な記念日でしたが、今でもクリスマスになると思い出す。初彼との思い出の日。
これからも色褪せることはないでしょう。
「ハッピーメリークリスマス!」