父が誘ってくれたテーマーパークはクリスマスイベントの真っ最中

高校二年生の時、うつ病になり、不登校になった。
母が入院し、家で独りぼっちだった私は何をする気も起きなくて、自室に引きこもって惰眠ばかり。そんな私を見かねたのか、ある日父がテーマパークに行こうと言い出した。
精神的に何かを楽しむ余裕がなかった私は、最初は乗り気ではなかったものの、「たまには遊んでみるのもいいか」とイベントの情報収集を始めた。

訪れた日曜日のテーマパークは、丁度クリスマスイベントの真っ最中だった。園内の至る所でクリスマスソングが流れ、私は久しぶりにウキウキした。子どもの頃からクリスマスはいつも家族でテーマパークに遊びに行っていたからだ。
約5年ぶりの家族と過ごすクリスマスイベント。ショーは昔と変わっていたけれど、心が温かくなる内容は変わらずだった。

聞こえてきたキャラクターのセリフに目が覚めるような気持ちになった

アトラクションに乗り、レストランでご飯を食べ、最後は夜のプロジェクションマッピングのショーを見た。ショーの終盤、私はあるキャラクターのセリフを聞いて、目が覚めるような気持ちになった。

「家族や友達と過ごす事、それが一番素敵な事なんだ」

その一言で、私は隣に立っている父を見た。
朝早くから車を運転して、ショーの場所取りも何も言わずに率先して行ってくれた父。乗りたいアトラクションや行きたいレストランにも文句ひとつ言わず付き合ってくれた父。今、すぐ隣にいる家族とクリスマスを過ごせた事は「一番素敵な事」なのだと実感した。

あのクリスマスがあったから、家族や友達を大切にしようと思えた

今は忙しいのとコロナ禍で、クリスマスどころではないかもしれない。だが、クリスマスにテーマパークで家族と過ごした思い出が、今の私を作ったのかもしれない。
たまに家族と喧嘩してしまう事もあるし、友達との関係も難しいと感じる事がある。そんな時でも、家族や友達を大切にしようと思えたのは、あのクリスマスがあったから。
今度は家族全員で、それか友達と一緒に、クリスマスを楽しんでみたいと密かに思っている。