「女の子らしく」と言わなかったじいちゃんは、私に力と自由をくれた
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約10年前、小学生の私は厳ついマウンテンバイクがお気に入りだった。高めのポニーテールで斜めになったヘルメットを片手で抑え、河川敷を猛スピードで駆け抜ける。
目線の先には祖父がいた。
髭こそもじゃもじゃだったが、「おじいちゃん」と呼ぶには生気がありすぎる祖父だった。
野に分け入り、山イチゴを取ったり、木登りをしたりする楽しみを教えてくれた。父代わりだった祖父は、数学や科学の面白さも語ってくれた。当時の祖父は、私のなかに「男の子っぽさ」を見出していたと思う。
「女の子らしくしなさい」と言われた記憶は一切ない。彼は無意識に、一人娘である私に「跡取り」や「長男」の役割を求めていたのかもしれない。しかし、「女性らしさ」という型にはめない教育が、私に力と自由を与えてくれた。
私は今、結婚のために名字を変えようとしている。パートナーと話し合った結果だ。家父長制の時代を生きてきた祖父も、一切反対せず、私の幸せを喜んでくれている。
私はもう、家を継がないことを申し訳なく思ってはいない。結婚後も私は「嫁いだ女」ではない。
「ひかる」であり、これからもずっと、じいちゃんの孫だ。また、河川敷を散歩しながら仕事の話でもしよう。
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「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
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