クリスマスは、自分を甘やかすご褒美シーズン
大人になってからの方が、クリスマスが楽しくなった。
自分で稼いだお金でクリスマスで彩られた街へ繰り出すことができて、恋人とクリスマスマーケットを堪能することもできる。スパイスがぴりりと効いたホットワインを味わえることも嬉しい。
そして何よりも、自分にクリスマスプレゼントを贈れることが大きい。
クリスマスは、自分を甘やかすにはもってこいのご褒美シーズン。ひと昔前までは、プレゼントは他の人へ贈るものという認識があったが、最近では自分で自分に贈ることも当たり前となっている気がする。
自分を甘やかすことがイマイチ得意ではない私にとって、この風潮はありがたい。世の中のありがたい波に乗っかって、私も自分にクリスマスプレゼントを贈ることにした。
自分へのプレゼントは、ひときわ輝いていた
「どれにしようかな……」とネットサーフィンをしていると、とても素敵なバレッタを発見した。一目惚れだった。
某ハイブランドのバレッタ。女性らしくリボン調になっているが、黒でシンプルなデザインなので甘すぎない。最近髪の色を黒くしたばかりだから、似合っている自分が想像できる。
しかし、お値段はなんと1万円……! それもポイントやクーポン、割引セールを全部駆使してやっとのお値段。元々は倍の値段がする。バレッタひとつに1万円もかけるだなんて……。これは購入できないな……と諦めようとした時に、とある言葉が頭の中を駆けていった。
「自分へのご褒美に躊躇することはない」
尊敬するクリエイターさんの言葉だ。自分に厳しくすることがデフォルトだった私は、この言葉を聞いて衝撃を受けたことを覚えている。まさか今、この言葉を思い出すなんて。
目の前には、1万円もするバレッタの購入画面。今ここで購入ボタンを押さないと、私がこのバレッタを付けて出かける未来は一生来ない。そう思うと、いてもたってもいられなくなった。
「そうだよね、躊躇する必要はないよね。クリスマスだし」
自分に言い聞かせながら購入ボタンをタップした。これがクリスマスマジック。「買ってしまったぁ~~~」という罪悪感がほんの少し生じたが、「このバレッタをつけてどこへ出かけよう」「どんな服を合わせよう」という楽しみの方が勝った。
翌日には自宅に届き、私はうっとりしながらそのバレッタを眺めた。誰に贈られたわけでもない、自分で自分に贈ったクリスマスプレゼントはひときわ輝いている。買ってよかった。後悔はない。
昔の私なら、バレッタに1万円もかけるなんて考えられなかった。でも、クリスマスを言い訳に大きなお金を使うことも悪くはないと知った。最高の気分だ。
いつだって、自分にご褒美を贈ってもいい
正直に言ってしまえば、自分にプレゼントを買う理由は何だっていい。別にクリスマスじゃなくてもいいのだ。
でも、自分に厳しい私からすれば、みんながみんなプレゼントを贈り合うクリスマスの時期は、自分にプレゼントを贈りやすい。いつもなら我慢するものも、「クリスマスだからいっか」と言い訳をさせてくれる。
このエッセイが掲載されている頃には、きっとクリスマスが終わっている。その時のことを考えると少し寂しいけれど、そうしたらまた私は自分にプレゼントを贈ればいいだろう。クリスマスじゃないと自分にプレゼントを贈っちゃダメっていう決まりなんてないはず。
いつだって、自分にご褒美を贈ってもいいのだ。これからは、クリスマスに頼らなくても自分を甘やかせられますように。