3年前の12月25日、たまたま私は仕事が休みだった。その頃はまだ会社員で販売職に従事していた。
お菓子の販売だった。クリスマス限定商品も勿論販売し、忙しかった。
しかし、私はシフトの関係でその日たまたま休みだった。
せっかくのクリスマス休みだけど、私はモデルレッスンに向かった
そして、私は、モデルレッスンに行った。せっかくのクリスマス、しっかり休めば良いのに休まなかった。レッスンの定員がある。その定員に達していなかったので、予約を入れた。
クリスマスの思い出、私はマンツーマンでモデルレッスンを受けた。
モデルレッスンは夜のコマだった。17時台の電車に乗ってゆっくり揺られながら向かう。
周りはクリスマスの雰囲気。普段クリスマス商品を見ている私にとって見慣れた光景だった。
クリスマスの装飾はキラキラしていて好き。イルミネーションも好き。でもクリスマスという時期は繁忙期なので、私にとって、非常にワクワク楽しいものではなかった。
商業施設の中を通りレッスンの場へ向かう。家族連れや恋人同士、友達同士…クリスマスの世界を楽しんではしゃいでいる。
クリスマスツリーをバックに写真を撮っている人々もいる。
その中をかき分けるかのように、私は音楽を聴きながらレッスンの場所へ行く。その時聴いていた曲は、恐らくクリスマスソングではない。
思いもよらぬマンツーマンレッスンは、ある意味クリスマスプレゼント
19時半のレッスン。私はレッスンスタジオに着くとすぐに着替え、短パン姿になった。冬なので寒い。
レッスンスタジオはクリスマスの雰囲気が皆無だった。ほんの少し外に出れば、クリスマス一色なのに。
他にレッスン生がいないうちに鏡越しの自撮りをする。何回撮っても上手く撮れない。鏡に映るのは、ツインテールをした短パン姿の私と私の荷物のみ。
暫くしたら先生がやってきた。他のレッスン生は来ない。
「あれ?」と思った。
とりあえず先生に挨拶。
「おはようございます!」
「おはようございます!今日一人なんだよね。クリスマスだからみんな来ないみたい」
先生に言われた。
クリスマスだとみんな来ない、という考えがどこか新鮮だった。クリスマスは一大イベントなのだとということを実感。
「まさかクリスマスのマンツーマンレッスンだなんて……!」
驚きよりもマンツーマンの緊張の方が強かった。
モデルレッスンがマンツーマンであることは初めてだった。
それは私にとってチャンス。瞬時に捉える。
私がやりたいことをやってもらうしかない。これはある意味クリスマスプレゼントなのだと。
鏡を見ながら2人で音楽に合わせてストレッチした。その後、先生には苦手なウォーキングをみっちり見てもらった。私はウォーキングの時どうしても脚が曲がってしまう。その癖を直してもらった。
レッスン後に聞かされる、驚きの事実。先生との大切な時間をもらった
うまくいった時は大きな声で、
「そう!そう!そう!」
と先生は言う。
細かい練習の後、ランウェイの練習もした。先生と2人。
「クール系のランウェイいいね!」
褒めてもらった。
一面に広がる鏡を見ながら自分の動きを確認。鏡がいつもより見やすい。わからないところは、すぐにわからないと言うことができる。マンツーマンだから。
21時前、レッスンが終わり先生が私の元へやってきた。
先生が何を言うのかと思えば、驚きの事実だった。
「実はもうここのレッスン持たないんだ。だから今日が最後なんだ」
突然のことで何が何だかわからない。
「えっ……じゃあ先生にもう会えないってことですか?」
「そういうこと……」
「……また何処かで会えたら嬉しいです!短い間でしたがありがとうございました」
モデルというより素の私らしく、笑顔で言った。
最後に先生と握手をした気がする。
何となく寂しい気分。しかし、これが始まりなのかもしれない。そう思った。
先生と会ったレッスンはおそらく5回もない。しかし、印象に残る先生だった。
非常に大切なクリスマスプレゼントをいただいたような気がする。
クリスマスのマンツーマンレッスン。
先生に言われたことが忘れられない。
また何処かでお会いできたら嬉しい。
その時と違う私を、先生に見せたい。