一人暮らしは心地良い。ずっと続けていきたいと思う。私は、就職を機に一人暮らしを始めた。小学生の頃からの、念願の一人暮らしを。
実家や家庭環境がひどく悪かったわけではない。むしろ、どこにでもありふれた一般家庭で、それなりに不自由なく過ごせていたのだと思う。ではなぜ、一人暮らしがそんなに小さな頃からの念願だったのかというと、原因は私自身にある。

自分の力だけで生活できたら、何でもできそうな気がした

私の性格上、一人の時間が長いほど、安心感を覚え、リラックスもできる。1日のなかで1人の時間を持てなければ、チリが積もるように少しずつストレスが溜まっていき、いつの日か爆発する。
小出しにして解消することもできずに、気付いたときにはビックバンのように大きく弾けてしまうのだ。しかし、実家には、「自分の部屋」がなかった。構造上、子ども部屋が持てない間取りであったため、両親と共用のリビングに私の学習机をおいた。

誰でも出入りできてしまうが故に、誰かが入ってきてもノックはなし。子どもながらに、プライバシーはないのか、と思いながらも、当然実家を出ていく行動力も経済力も権力もない。無力を思い知った。
そのころから、人がいない時間を狙って勉強や作業をするようになった。誰かに見られることが、「監視」と感じるようになったのだ。それを避けることで、自由になれた気がした。
自分がやってみたいことに取り組める環境が欲しかったというのもある。自分の力だけで生活ができたら、何でもできそうな気がした。

自分のペースで生活することはこんなに快適

こんな背景を持ちながらも、何故か進学先は地元で、家から一番近い距離。就職するまでの時間を実家で過ごすことになる。実家のしがらみをできるだけ感じないように、と、就職は地元に簡単に戻れない場所にした。

それは正解で、自分のペースだけで生活することに快適さを覚えた。難点だと思ったのは、料理を作りすぎてしまうこと。家族がいた分、多く作ってしまってもその日中もしくは翌日には消費できたため、一人分の量がわからなかったのだ。これは、「一人暮らしあるある」なのだろうか。

料理が好きな分、誰かに食べてもらえたらもっといろんなレパートリーを増やせるのにな、と思ったものの、それまで。誰かと常に一緒にいることはどうしても考えられなかった。
私が私らしく生きていくための、最重要事項として、一人暮らしは位置している。

どのテレビ番組をみても、いつお風呂に入っても、夜ふかしを何時間しても、誰かに指摘されることはない。自分が好きなだけ、好きなタイミングで出来ることは私にとっては、砂漠の中のオアシスのように魅力的なのだ。
誰にも干渉されずに、パーソナルスペースを守りながら生きていくこの生き方が、私は好きだ。

一人暮らしの魅力は、自分の知見を広げてくれること

会社に勤めて働きだしたら、なおさら一人の時間は大切だと思えた。
ストレスまみれの8時間を耐え抜いて、自分の感情をフルオープンにできる空間。実家で暮らしていたならば、とにかく休みたくて家に帰ってきたのに、「今日は会社、どうだった?」なんて興味の塊でしかない質問を投げかける父親はいない。
ヘトヘトな顔をして、ベッドへ飛び込んで、気付いたら朝になっていても何も言われないのは最高だ。もちろんその質問が、親子のコミュニケーションを図るための切り札であることはわかっている。けれど私は求めていない。

人とのつながりも、毎日はいらない。社会とのいろいろなつながりからは離れてしまうが、自分のことを最優先で信じることが出来るのも、一人暮らしの魅力の1つ。最終決定権は自分にあり、責任と覚悟は必要だが、自分の感覚と信念をもとに「やってみたい」に従って様々な経験にチャレンジすることができた。

女性として生きる選択肢の中には、将来的に家庭を持つこと可能性だってある。だから今は一人暮らしで、自分の感覚や信念の最終形を作ってもいいではないかと思う。少なくとも私は、そんな時間にしたいと思っている。

一人暮らしは、自分の知見を広げてくれる大切な機会。環境をガラリと変えることだからこそ見えてくるものがあって、本当の自分の気持ちに気づけた。私は、この魅力にとりつかれたのだ。