私が大学2年生の頃、今から4年前の話です。クリスマスイブだったその日は、ディスカウントストアで品出しやレジ打ちのアルバイトをしていました。
幸せそうなカップルや家族の姿が多かったのでため息の数も増え、羨ましいさもありつつ、ちょっと寂しい気持ちで働いていました。
「だってサンタさんのお帽子つけてる」。バイト先で出会った女の子
お菓子コーナーで品出しをしていた時、「あーっ!」と大きな声が聞こえたので振り向くと、小さな女の子が私に向けて指を指していました。そのままタッタッタッタッと私のところまでやって来て、「どうしたの?」と聞くと、「お姉さんって、サンタさんの友達とかお手伝いしてる人なの?!」と言いました。
私は頭の中が真っ白になり、「えっどういうこと?!」と色んな考えがぐるぐるしていると、その女の子は「だってサンタさんのお帽子つけてるもん」と言いました。
確かにクリスマスということもあり、店内の装飾はもちろん、その日に出勤していた何人かのスタッフだけサンタさんの帽子を被るように言われ、私も被っていました。
私がサンタさんの帽子を被っていたこと、その時にたまたまお菓子コーナーの品出しをしていて、クリスマスの商品だったこともあり、その女の子は勘違いをしたんだと思います。
でも可愛いなーと癒された私は、「そうだよー、サンタさんがみんなにプレゼントを届けられるように、今日は特にお手伝いでみんな大忙しなんだよ」と言うと、その女の子はすごく喜んだ様子で、「私のところにもちゃんと来るように、絶対サンタさんに言っておいてね!」と言って帰っていきました。
クリスマス当日、女の子が「ありがとう」を伝えに来てくれた
次の日、クリスマス当日。クリスマス当日もアルバイトだったため、いつも通り出勤し仕事をこなしていました。この日はレジ打ちの担当で、クリスマスプレゼントを買う人、これから大規模なパーティーでもするのかって言うほど、大量のお菓子やお酒を買って帰る人。
色んな人がいるなーと感じながら仕事をしていた時、聞き覚えのある声で「あ!見つけた!」と聞こえてきました。声がした方を見ると、驚きました。その声は、昨日の女の子だったのです。
「どうしたの?」と聞くと、その子は「ありがとうって言いに来たの!」と言いました。
頭の中で「ありがとう?なんかしたっけ?」となっていたら、その女の子続けてこう言いました。「今日の朝ね、サンタさんからね、プレゼント届いてたの!お姉さんが言ってくれたんでしょ?」
女の子はすっごく笑顔ではしゃいでいて、それだけでも十分可愛かったのですが、クリスマス当日ということもあってか、女の子もサンタさんの帽子をかぶってクリスマス柄の洋服を着ていて、無邪気に喜ぶ姿を見てより和みました。私には妹や弟がいないので、兄弟姉妹がいるとこういう感覚なのかなーと感じました。
小さなサンタさんがくれた、不思議なクリスマスプレゼント
すると唐突に「これあげる!」と女の子はポケットから何かを取り出し、私に渡してくれました。見てみると、サンタさんや雪だるまが書かれたカードでした。しかも女の子の手書き。
こすって触るとクレヨンがちょっと手についてしまうような、可愛らしいものでした。「くれるの?」と聞くと、「お姉さんのおかげでサンタさんが来てくれたから、書いてきたの!」と言ってくれました。
カードをよく見ると、なれない字で「ありがとう」とも書いてあり、すっごく嬉しかったです。私は元々友達の多いタイプではないので、クリスマスに友達と遊ぶことも、大切な人と過ごす予定も全くなく、プレゼントを貰う事なんてなかったので不思議な感覚でした。
しかも、知ってる人からではなく、昨日出会った名前も知らない女の子からだったので、今まで感じたことも無いような、ほんとに不思議な感覚でした。サンタさんのお帽子を被った女の子からの、不思議なクリスマスプレゼント。今でも手帳に挟んでいます。あの女の子は元気かな?