初めて大好きな人と過ごしたクリスマス。これが人生の最幸なの?

なんであんなにも甘く溶けてしまいそうな時間って、その場では消えてしまうんじゃないかなんて余計なこと考えちゃうんだろう。
嬉しいんだけど今が人生で一番なんじゃないかって思えて、涙出ちゃうんだろう。
この先今のこの幸せがずっと続くのか考えると不安になって切なくって、あまりの嬉しさに泣いちゃう。

もぅどうしたら良いかなんて、自分でも分かんない。
これを幸せの絶頂って言うのだろうか。絶頂になったとき自分じゃない感覚に陥って、今が人生の最幸なの?って思うと死にたくなるのも分かる気がする。
確かに生きた先にはもっと幸せあるかもしれないよ。でも、今がこれまで生きてて一番の幸せな訳でしょ。やばいよ。あたしじゃないみたい。

ふわふわして溶けそうな脳内で思ったことを鮮明に覚えてる。シャンパンと一緒に溶けちゃえよなんて、ベッドでまどろみながら思ってた。

そうやって、初めての感覚に陥った日が8年前のクリスマス。人生の中で初めて大好きと呼べる相手と時を過ごしたから。

ケーキのクリームの味、香水の匂い。五感がフルに働いた

その日初めてシャンパンを口にした。子供の頃に飲んでいたシャンメリーと違って、甘味をぐっと減らして、酸味とほんのりとした渋みを足したような。その時大人の味ってこういうもんなのかと、しゅわしゅわするのと同時に口の中で溶けていった。

初めての共同作業に二人でクリスマスケーキを作った。生クリームを鼻に付けあってほっぺとほっぺをぎゅーっとくっ付けあって写真を撮った。
鼻に付いたクリームってなんでこんなにも甘く後々まで、鼻の奥に残るんだろう。まるで私たちの甘い時間がずっと続きますようにってクリームからも伝わってくるかのよう。
好きが加速して暴走しすぎちゃったら、もうね、五感がフルに働いちゃってるんだよね。

彼の付けてたヴィヴィアンのブドワール。いまだにこの匂いがしたら目と鼻で追いかけちゃう。
もう廃番になっちゃったから、当たり前にほとんど付けてる人がこの世にいない。だからこそこの香りがしたら男でも女でも性別関係なく好きになっちゃう。だって、大好きだった人の香りなんだもん。
記憶ってなんでこんなにも無情なんだろう。
染み付いたように全身で覚えてる。そんなこと覚えなくって良いんだよ。
もっと、大切なこと覚えとけよ。まぁ、人間って結局そんな生き物だよね。

音楽だってそう、唇と唇を重ねあってたとき偶然流れてた音楽を未だに思い出して涙したりする。あの瞬間はドニーハサウェイのディス・クリスマスが流れてたなぁなんてね。

いつになったらあの日を超えられるのだろう

あの日までは当たり前に毎年クリスマスというキリストの誕生日の日が来て、ただケーキ食べてチキン食べてって通りすぎていく行事かと思ってた。
今思い返すと何かこう特別なことをしたとかじゃない、端から見たら一般的なカップルのクリスマスを楽しんだんだと思う。
でも、私にとっては初めて目に入れても痛くないぐらい当時愛してた人と一緒に時間を過ごした、特別なクリスマス。

毎年クリスマスが来る度に思い出しちゃうよ。幸せだったあの頃がよみがえっちゃう。新しく付き合った彼と、また新たな自身のクリスマスの歴史を刻もうっていつも思うけど、未だに一度もこの日を超えることが出来ず、がっかりする。それ以上にあの日を思い出して何だか辛くなっちゃう。

いつになったらあの日を超えられるのだろうって。毎年意味もなく期待しちゃう。

あのクリスマスの日を境に知った。何かこう特別なことしなくても、本当に大切な人と過ごすことが何よりも幸せなんだって。付き合ってきた年数や日にちは関係ないってことも。

いつかあの日を忘れるぐらい、全身で溺れ合えるクリスマスを過ごしたいなって思ってる。今年のサンタさんへの願い事にしよっと。