クリスマスの思い出と言えば、大学の時に付き合っていた彼氏を思い出す。クリスマスの異性との思い出なんて数えるくらいしかない中での貴重な一頁である。
正確にはクリスマスの確か2~3日前だった気がするが、許容範囲だと思いたい。当時の彼氏が年末に実家に帰省する関係で、そのくらいの時期に会うのが年内ラストチャンスだったのだ。

プレゼントを彼氏に渡すなんて初めてで、タイミングが分からない

クリスマスと言っても、別に彼氏の家に泊まるだけで、何かイルミネーションを見るとかディナーを共にするとか、そういう特別なことはしていない。というか、私が彼の家に着いたのも多分23時とかを回っていたような気がする。バイトでもしていたのだろうか。数年前のことで忘れてしまった。

その日は柄にもなく緊張していた。一応プレゼントを渡そうと持ってきたからである。特にこれが欲しいとリクエストされたわけでもなんでもないのだが、とりあえず喜んでほしいという一心でセーターと何か小物を選んだ。
クリスマスのプレゼントを彼氏に渡すなんて人生で初めてのことすぎて、渡してもないのに心臓が口から飛び出しそうであった。

そんな有様なので、家に着いても渡すタイミングが分からず、自分のかばんのそばにそっと隠すように置いておいた。
家に入り、その流れですっと渡せばいいものを一度タイミングを逃すと、頭の中はもうそのことばかり。適当に彼氏と会話をするが、内容なんてまるで頭に入ってきていない。
いつ渡そう、いつ渡そう、そればかり。変な所が猛烈にシャイなため、こういう現象が時たま起こる。

プレゼントは彼氏に直接手渡しすることなく、私は家を去った

彼氏も気づいているのかいないのか、特に何も言ってくることなく時間だけが過ぎていく。
なんならこの時点で、プレゼントだけでなくケーキも買ってきていたのだが、それもすぐに渡せていなかった。が、そちらは生ものだしということで、なんとか意を決して渡せた。渡さなければ、わざわざ途中下車して買った意味がないし、だめになってしまう。
味は美味しかった、と思う。やはりよく覚えていない。クリスマスにあまり関係なく、適当にパイを買ったような気がする。

結局、そのプレゼントはを彼氏に直接手渡しすることなく、私は家を去った。
ではどうしたのかというと、プレゼントに確か置き手紙をして翌朝隣で寝ている彼氏を横目に先に家を出たのである。なんとまあ、という話だ。
一応起きて、気づいてもらえる所には移動させておいた。さすがに気づいてもらえなければ、話にならない。

私のような人がいるならば、数年経てば良い思い出になるよと教えたい

シャイもここまでいくといい加減にしてくれ、という話だが、今となっては良い思い出である。直接渡せないのなら宅配で送っても変わらないような気がしている。
この時から数年経った今、良くも悪くも私の性格は変わり、シャイからは程遠いところにいる。自分でもなんでそうなったのかはよく分からない。
もしかしたら、今年のクリスマスに当時の私のような人が出てくるかもしれない。きっとその時は恥ずかしくて勇気がなくてどうすればいいか分からないと思うけれど、数年経てば良い思い出になるよ、と、その誰かに教えてあげたい気分でいる。
そして、当時のあまずっぱいような不思議な気持ちをまた味わえたらいいなあ、とどこかぼんやり思っている自分がいるのもまた事実である。