私は旅をすればするほど身体が元気になっていく。
私は応援しているタレント、いわゆる「推し」に会うために、旅は欠かせない。
私の「推し」は東京をはじめ、いろんなで場所でのイベント出演が多い。
その度に何度もスーツケースを転がして「推し」に会いに行っている「推し」のオタク、それが私である。
ちなみにオタク達の中で、遠方のイベントに出向くことを「遠征」と呼ぶ。
けれども「推し」にハマる前の私は、「遠征」どころか、遠い場所に出向く「旅」自体がとんでもなかった。
外に出るのが怖い、そんな状態が何年も続いてしまった
私は何年間も全く地元から出ないどころか、働いてもいなかったこともあり、実家から外にほとんど出なかった、いわゆるひきこもりニートだった。
ひきこもりニートになったのは大学でメンタルを病み、身体も壊してしまったのが原因だ。
ほぼ毎日ベットで寝たきりなほど、身体中が痛かった。
だからひきこもりニートの私には、まず外出という行為そのものが困難。
少し車に乗るだけでも気持ち悪くなり吐いてしまい、通院するための15分のタクシーでも酔い止めは必須だった。
頑張って気晴らしに近場のショッピングセンターに出ても、到着地で疲れてしんどくなり、カフェのソファー席でうずくまるの繰り返し。
外に出るのが怖い、そんな状態が何年も続いてしまった。メンタルから来る病気は本当におそろしい。
しかし。ひきこもりニートの最中にハマった「推し」が、「東京でライブイベントをするので来てね!」と言い放った。
行きたい。会いたい!
あっさり「新幹線で東京行くで!」と決意した。
「会う」目的に専念していて、体調不良になる暇がなかった
私の地元から東京へは新幹線で3時間以上かかる、かなりの遠出。まさに「遠征」だ。
今までの私だったら「何時間も乗り物の中なんて無理!しんどくなる!絶対倒れる!無事に着いても、旅先で寝込む!」と諦めただろう。
でも今回は、「しんどくなっても死にはしない!それに『推し』を生で見れたら十分!ライブイベント終わったらホテルで寝とけばええんや!」とあっさりチケットを申し込んだ。
「遠征」は出発前からやることが多かった。ホテルの予約に新幹線の予約、そしてライブと宿泊に備えた荷造り。
着ていく服も、きっと「推し」からは見えてないけど、それでも私の中では重要で、クローゼットをひっかき回して悩み、ライブイベント前日の閉店間際のしまむらに駆け込んだりもした。
出発当日は台風が近づき新幹線が運転見合わせにならないように祈り、東京に着いたら乗り換えが意味不明で、タクシーを捕まえ会場へ。着いたら着いたでキャリーケースをぶち込むコインロッカーを探し、走り回った。
そして無事に参加したライブイベントではめちゃくちゃに楽しんだ。
「推し」が私のいる方向に顔をむけてくれるだけで「目が合った!」と、幸せな勘違いして、ペンライトをガンガン振った。
ずっと元気だった。「推しに会う」という目的に専念していて体調不良になる暇がなかった。
遂に、夜行バスデビューも。完全に、メンタル面も余裕である
上演終了後、ホテルにチェックインした後もライブイベントの余韻に浸った。疲れて寝込むどころか「生の『推し』の破壊力やばい」と興奮が冷めなくて寝付けなかったのは笑った。
それから毎月1回くらいのペースで「推し」に会うために「遠征」をしている。
そして遂に、夜行バスデビューも果たした。
長時間で深夜の運行だけど安い。新幹線の半額の値段でオタクを「推し」の元へ運んでくれるのだ。浮いた分はイベントのグッズ代にお金を回すことができた。
しかし、「あの数分間のタクシーで気持ち悪くなっていたあなたが、夜行バスに乗れたなんて!」と、私のひきこもりニート時代を知る人は皆びっくりする。
クッションを持ち込むなどの対策をしておけばとくに問題ない。
毎度「『推し』に会えるからしっかり寝とかなきゃ!寝不足でクマ作ったら最悪!」と、目にホットマスクを乗せて爆睡している。
「寝られなくて体調悪くなったらどうしよう」ではなくて、自分のビジュアルを気にしている時点で、完全にメンタル面も全く余裕である。
「私はここまで元気になれたんだな」と改めて感じることができた。
「推し」に会うための「遠征」の旅は私を楽しませ、そして自分の成長も実感させてくれる。
これからも「遠征」を通して楽しみながら自分の成長を味わっていきたい。