かがみよかがみでは、「コロナ禍の恋愛」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、編集部選として3本のエッセイをご紹介いたします。

◆かがみすと賞

Zoom合コンに元彼がいた。個人チャットで送られてきた言葉は(初夏のアリス)

あらすじ:暇つぶしがてら出たZoom合コン。女子同士の「興味なし」の合図を送った後に入ってきたのは、高校時代の元彼。画面では別の話をしながら、二人の個別チャットが始まって…

◆担当編集者からのコメント

コロナ禍で人と会うハードルがとても高くなりましたが、こんな出会い方があるんですね。Zoom合コンというもの、これから定着していきそうです。女子同士の秘密の合図というのも面白いですね。

ポン、とチャットの通知が届いた。
「秘密でお願い」
送信者は元彼、宛先は私個人。流暢に話しながら顔色一つ変えない、器用な奴だ。
「りょうかい」

元彼を見て引きつったものの、一瞬で気の置けない雰囲気になったことが伝わってきます。チャットや会話の場面も臨場感があって引き込まれました。余韻のある終わり方も素敵でした。

◆次点①

コロナ禍で同棲が窮屈に。歪みを正せたのは彼のある言葉だった(衣川自由)

あらすじ:同棲して7年の「婚期を逃したカップル」。コロナで彼が定時に帰るようになり、休日も家にいるようになると、なんだか窮屈さを感じるように。

◆担当編集者からのコメント

小さな違和感の積み重ねからのストレス。一緒にいるのに安らげないこと。おっしゃるように実はそこにあった「歪み」が見つかったのでしょう。

あんなに恐れていた彼の目を、じっと見た。
すると彼は驚いたように目を丸くして、しばらく硬直したあと、奥二重の目をふっと細めた。
それはひどく優しい笑顔で、今までわたしが見てきたものと何も変わらない。彼は、変わっていない。

関係を修復するには、何よりもお互いに向き合うこと。そんなことを優しく教えられた気がします。

◆次点②

コロナ禍で知った言葉の重さ。「バイ菌さん」と呼ばれた私大島ひよ子

あらすじ:医者としてウィルスと日々闘う私。病院と家の行き来だけの孤独を埋めたくてマッチングアプリをダウンロードした。そこに投げられたひと言に傷つき、そしてまた別のメッセージに励まされた。

◆担当編集者からのコメント

長引くコロナ禍で、日々神経をすり減らされていることでしょう。優しさを自分だって受け取りたい、他愛のない会話がしたいという願いが胸に迫りました。

たった数行の文字なのに、こんなにも温かさに包まれるのか。こんなにも寄り添って貰えるのか。こんなにも人の心を動かすのか。

心ない書き込みに傷ついた大島さんに、温かいひと言をかけたその方にお礼が言いたくなりました。ネットやSNSであっても、そこにいるのは一人の人間だということを忘れずにいたいですね。

◆次点③

初めて見た彼の涙。私たちの7年間は、Zoom越しに終わりを迎えたもだの

あらすじ:アメリカと日本での遠距離恋愛。ハワイで会おうという二人の約束は、コロナで危うくなった。不安、焦り…。その状況に、私が諦めたのはハワイ旅行だけじゃなかった。

◆担当編集者からのコメント

距離というハードルと、コロナ禍というハードル。そのハードルを越えられるかどうかを試されたカップルは多いのかもしれません。

永遠に続くと思っていた何かに対して、コロナが残酷なノーを突きつけたように感じていたし、それはある程度本当のことだったとも思う。
行けなかったハワイ旅行は、今も私のカレンダーをめくると書き入れてある。

コロナ禍の前からの不安があったとしても、「もしコロナ禍がなければ」と考えずにはいられない、切なくなる最後の文章でした。

以上、「コロナ禍の恋愛」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。
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