大学2年生の夏、半年記念日を目前に彼氏のスマホにマッチングアプリが入っているのを見た。

すべてがうまくいくと思っていた。

高校も大学も女子校、周りの同年代は色恋真っ只中の時期を女子だけの世界で過ごした。中学の時に2か月付き合った人がいるが、手を繋ぐことも一緒に帰ることもなく終わったのだ。

幸せな世界は、彼のスマホを見てしまった瞬間に一変した

そんな中、大学1年の冬に告白され、付き合うことになった彼がいる。
彼は私の実家から1時間半のところで一人暮らしをしていたため、半同棲状態で通っていた。恋愛経験が皆無だった私からすれば、毎日「かわいい」「好き」といわれることは新鮮で、まるで夢でも見ているかのような感覚だった。
また、私の親は毒親だったので、実家のほかに居場所があるというのは心地が良かった。深夜のコンビニにアイスを買いに散歩したり、湖でボートを漕いだり、箱根の露天風呂付客室で贅沢をしたり、毎日が充実していた。
大学1年の頃がコロナのピークというのもあり、出かけられなかった反動で、もう元の生活には戻れないと思った。

一瞬で世界が反転した。見てしまったのだ、彼のスマホにマッチングアプリが入っているのを。
動悸が止まらない。冷汗が体中から湧き出るのを感じる。彼の家のあらゆるものを壊してしまいたいと思った。しかし彼がいる前で騒いだりはしない。

いてもたってもいられず、親友に支離滅裂になりながら電話した

その後彼はアルバイトへ出かけ、私は彼の家にひとりになった。悲しさ、怒り、失望、さまざまな感情に襲われた。一人ではいられなかった。
私はさんざんインスタにラブラブな投稿をしていたので浮気されたなんて恥ずかしくて言えないと思ったが、いてもたってもいられず、電話をかけた。かけたのは高校時代の親友A子だ。
私は涙ながらに動揺で支離滅裂なことを言っていただろうが、A子には彼のことは何度か話していて話が早かった。
しかも驚くべきことに、彼女は私を一人にさせまいと彼の家まで、彼女の家から2時間の道のりを迎えに来てくれたのだった。彼には用事ができたので帰るとだけLINEし、合鍵で鍵を閉め家を出た。

A子にどれだけ助けられただろう。彼女がいなければ私は確実に気を病んでいた。A子の家に招待され、一晩を彼女の家で過ごした。不思議とぐっすり眠ることができ、気づいたら朝になっていた。

何かあったらA子に甘え、頼ってしまうけど、自立しようとは思わない

結局のところ、これは笑い話だが、後日彼と話し合うと、彼のスマホにはマッチングアプリなど入っておらず、私の勘違いだった。
友人のアプリでのやりとりのスクショを見ていたらしい。嘘だろうと散々疑ったが、これはしっかりと証拠もあるので心配しないでもらいたい。結局、私は現在も彼と付き合っている。

A子はというと、私の勘違いで散々迷惑をかけたにもかかわらず、「勘違いでほんとに良かった」と言ってくれ、大学は違うが今も週1回程度遊ぶほど仲良くしてくれている。

思えば高校時代から勉強や友人関係などA子にはだいぶ甘えてきた。これからも私はA子に頼ってしまうのだろう。
それでも自立しようとは思わない。私は一人では何もできないと自覚しているのだ。でもA子の負担を減らせるように、彼にももっと頼って迷惑をかけようと思うのだ。