親から離れて、独り立ちがしたい。私は希望に満ち溢れていた
今年の私は「自立をする」。
十代の頃は早く二十歳になりたかった。世間的に認められる「成人」というステータスがもの凄く欲しかったからだ。早く二十歳になりたいと口癖のように家で言っているような子どもだった。
成人すれば私が新しく生まれ変わるのかというくらい、私にとっては、成人=大人で、自分一人で何でもこれからを選んで決めることができる。成人すれば私は自由になれる。と思っていた。
親の目から離れて、干渉や抑圧から逃れたい。そういう思いからか、一人暮らしに人一倍強い憧れがあった。言葉通りの独り立ちがしたかった。
親から離れた私、個人の力で生きていきたい。と独立心旺盛な私は希望に満ち溢れていた。
社会人になって、すぐさま一人暮らしを始めて一通りの欲は叶えた。
周りの女友達は、社会人になってからも実家から職場へ通える範囲であれば、通っている子がほとんど。その方が、お金も貯めやすいし実家を離れる必要性が無いのだろう。
実家からも通えたのに一人暮らしをしていた私は、周りから浮いた珍しいタイプだった。
結婚が破談になり、実家に戻ることに。帰る家があって本当に良かった
二十歳を少し過ぎて地元を離れ、上京した。
憧れの東京で生活することによって、今までの自分がガラッと大きく変わるんじゃないかと
勘違いしていたのかもしれない。それも、自分の力ではなく他力で、東京というパワーで、何かが変わると思っていたのかもしれない。
そんなはずもなく、自分の人生がパッとしないうちに、お付き合いしていた彼と婚約して同棲する事になった。
私も相手もお互い一人暮らしで、相手の仕事の都合で彼の住んでいる街に行き、彼の家に転がり込むことになった。
自然な成り行きで、自分の賃貸の家を解約し、仕事も辞めて、彼に着いていった。女子のよくあるパターンだと思う。そこまでは良かったのだけれど。
結婚が破談し、私は彼の家から出て行かなくてはならなくなった。
また家も仕事も失った。
行く当てもなかった私は実家に戻ることになった。コロナの影響もあったので、また東京へ戻ることはせず、地方の田舎を選んだ。
あれだけ、実家嫌いの自分が、ひょんなことから実家に戻ることになったのだ。
周りは結婚して実家を出て行く年齢期に、一人私は実家に出戻りだ。情けないし、恥ずかしいし、でも他に身を寄せれる場もなかった。
だけど、そうなって初めて分かる。帰る家があって本当に良かったという事、それが不幸中の幸いだった。
一人暮らしだけが自立ではない。また一から、独り立ちを目指していく
実家にいると、家賃は浮くし食事もある。水道代、電気代も気にせず生活できるという快適さに、ようやく気付いたのだった。
確かにこれだと今からもう少し貯金が出来ると思う。あとこれくらいお金が貯まったら実家を出て行こう、と居心地良く思っていたところだった。
最近観たドラマで出てきた言葉の中で、「親のすねをかじって生活している」という言葉があった。それを聞いて今の私のことか、と思ったのだ。
だから、私は今年の目標を「自立をする」にした。
自立をすると言っても、何も一人暮らしをする事だけが自立とは言わないのかもしれない。
私は実家に戻り一度休めたから、また一から、自分で自分を養って生活すること、何かを得る時に犠牲にしなくて済むような仕事を持つこと、を目標に独り立ちしていこうと思う。