「よく考えよう、お金は大事だよ」
まだ幼かった頃、そんなコマーシャルが流れていたことをこの頃よく思い出す。
お金は大事だ。それは本当のこと。

やりがいはあったけれどすり減った。退職を決めた社会人1年目

社会人も1年目。
それまで家賃や光熱費なんかは親が払ってくれていた大学時代とはうって変わり、生活費のすべてを少ないお給料をやりくりして払ったとき、はじめてお金の大切さ、そして恐さを実感した。

新卒で入った会社は第1志望だったこともあり、本当にやりがいのある仕事で、そこで学んだことはいくつもあった。
だけどやりがいを感じれば感じるほど、大切にしているものがどんどんすり減って、気づけば自分が立っている場所すら分からなくなっていた。
そうして最後に残ったのは、精神的にも身体的にもぎりぎりの状態になっている自分だけだった。

休職期間を経て、結局退職することを選んだ社会人1年目。
正社員になることがすっかりこわくなってしまった私は、次につなげるための働き方を模索した。
2年目は住む場所もがらりと変えて、正社員のトラウマから逃れるように、すべての環境を変えてスタートを切った。
この思い切りがよかったのか、今はダブルワークというかたちで、どちらも好きな仕事をすることができている。

好きな仕事。だけど実態はフリーター。いま分岐点で迷う

だけど、問題は来年度以降にあるのだ。
体良く言えばフリーランス。
だけど実態はたぶん、フリーター。
そんな今の私が稼ぐお給料では、とてもひとり暮らしなんてできない。
貯金はほとんどゼロ。
だけど国民年金に奨学金、そのほかにも払わないといけないお金は山ほどある。
そしてそれはきっと、これからも。
単身赴任中の父と一緒に暮らしている今、私はまた大学時代のような生活を送っている。

このままでは、いけない。
きちんと自立しなければ。

そう思って社会人2年目を過ごしている今、来年度以降は本当のフリーランス(フリーライター)として働こうと決めていた。
「決めていた」と過去形になっているのは、まさに今、迷いの分岐点に立っているから。
少し前に受講した講座で、フリーライターとして働くうえでの現実的な面を知ったとき、それまでの「なんとかなる」とか「ワクワクする」と思えていた気持ちは一気に消え去った。

社会人経験も浅い私が、いきなりフリーライター?
今働いている会社を拠点にするにしても、本当にやっていけるの?
そんな考えがぐるぐると回っては、喉元が狭くなってうまく呼吸ができなくなった。
この先のことを考えるだけで、これまで無防備なひかりであふれていた目の前は真っ暗になった。

現実とやりたいことで優先順位が整理できていないんだ

きっと私はなにかしら焦っているのだと思う。
やりたいことがありすぎて、優先順位がまだ頭の中でうまく整理できていないのだ。

生活していくための、お金。
つまりは、生きていくためのお金。
「よく考えよう、お金は大事だよ」
お金に限らず、物事の本当の意味を理解するのは、自分がその状況にはじめて置かれたとき、あるいはその未来を想像できる位置に立ったときなのだと、今になって思う。

正直、今はとても苦しい。
苦しくて苦しくて、誰かに苦しいと言葉にして言いたくなるくらい、苦しい。
それでも今は、この苦しみをひとりで抱える必要があると思っている。
そういう時期に私はいるのだ。

「どんな決断をしても、それが私の選んだことなら、ぜんぶぜんぶ味方なんだよ」
幸いなことに、今の私にはそう言ってくれるひとがいる。
心の底から向き合ってくれる、かけがえのない大切なひと。
だからこそ、今はひとりでこの問題とちゃんと向き合って、もがいて苦しむことができる。

現実と向き合うこと。
その現実には必ずお金がついて回ってくる。
明けない夜はない、なんてことは言わないけど、それでも苦しんだ先には必ず得られるものがあると信じている。
少し深呼吸して、それでもやっぱり苦しくて、でもお金と現実からは目は背けないで誠実でいたい。

未熟者の私の、未熟なりの精一杯の考えが、どうか実を結んでくれますように。