私が変えたいことといえば、性産業を技術職やサービス職として世に浸透させることである。

どうしても、性産業というのは身体を売るという認識で、身売りや売春といった貧困や麻薬といったものに直結してしまいがちだ。悲しいことに性産業の業界は、メンヘラや虚言症などまともな社会生活を送れない女性の吹き溜まりのようになっていることは事実だ。

生きていくために欠かせない「性産業」なのに、社会から歓迎されない

私は6年間ソープで働いていたことがあるのだが、連絡せずに仕事に来なかったり、仕事が決まっているのに何度も当日に休んだりとか、そういうことを平気でしている人をたくさん見てきた。

そして、そういう不安定な人の元には、同じような不安定な客しかつかないもので、そういう人種が増えれば増えるほど、性産業はどんどん悪質さを増していき、ますます社会から疎まれる業界となっていく。

私は真面目に出勤し、サービスを磨く努力をしてきたので、それほど人気はなかったけど、安定した技術で店に信頼されていた。なので、お客さんも比較的まともな方が多く、サービスを受けることを楽しみ、喜んでくれる方が多かった。

性産業は、介護職や医療、保育と同じように人が健康に生きていくために欠かせないものだ。だから、社会からなくなることはないのだが、医療職は神格化されるのに対し、性産業はあまりにも実態が定かではなく、社会に歓迎されないものとなっている。

私は「性産業」での経験を活かし、隠すことなく伝えていきたいと思う

それは、やはり働く女性のイメージが良くないことが原因の一つであるだろう。しかし、私が働いていた2010年ごろから業界は少しづつ変化しており、自己プロデュースに長けた女性たちが増えてきて、将来やりたいことがあり、そのために持って生まれた女としての能力を最大限に活かしてお金を稼ぐ手段として性産業に参入する、非常に合理的かつ賢い女性が増えてきたのだ。

今や業界のレベルも上がり、客側も相応のサービスを求めている。単なる性処理ではなく、おもてなしをしてくれる“接客”というサービスを求めている。まともに社会生活を送れない女性は、もうお客さんには求められないだろう。

ソープに限っていえば、ただ射精に導くだけではなく、最初から最後まで細かいもてなしを提供しているので、温泉やエステやリラクゼーションなどと同列に扱えるほどの癒しサービスのレベルに充分達しているのだ。

未だに社会では、一昔前のやりたくないのにやらされているかわいそうな仕事だという認識が強いのだが、既に女性たちの自己表現の一つ、今でいうと地下アイドルやネットアイドルのような仕事に変わっている。

もちろんきれいごとばかりではないので、危険なことや後々社会的に影響するリスクなどはある。しかし、それも隠すことなく伝えていくことや、次の道を示してあげることも必要なのではないのか。

きれいごとばかりじゃないけど、性産業の「喜びの部分」を伝えたい

どんな仕事にも表と裏、光と闇があるもので、昼間に会社に行き、机に座って仕事をすることだけがなぜ賞賛されるのだろうか。仕事というものは、お金を払ってくれる人を満足させ、喜ばせるものだ。それ以上でもそれ以下でもない。

そして性産業は、長い間多くの人間を満足させ、喜びを与えてきた。だから、今日まで持続して来れたのだろう。

私は、この喜びの部分を伝えていきたいと思っている。多くの人が、性産業とは性欲だけを吐き出しにいくものだと思っているが、人間が対面したらそこには情が生まれ、相手の喜ぶことをすれば、自然とそこには幸福な空間が生まれるものだ。

そして、しっかりとした技術も社会に対する信頼に値する力となる。この技術を教えたり、磨いたりする場も風俗店の講習以外に必要だと思っている。これは、性に悩む全ての一般女性も救う力となることは確実だ。

テクノロジーが急速に変化し、ほとんどのものがAIに置き換われる未来、人と人との根源的な繋がりとしての性産業の存在意義をこれからも追求していきたい。