私は女子大の家政科に通う大学生です。
大学に入ってからというもの、「女子大生」という生き物が嫌いになってしまってすごく困っています。

「ナンパされるような可愛い自分の話をしたいんやな」

ある日、大学の親しい友達と3人で話していた時、Mが急に「最近さ〜ナンパされて〜その男がめっちゃきもかってん」と言い始めたので、最初は「ナンパしてきた『男』が気持ち悪かった話」を聞いてほしいんだなぁと思っていたのですが、聞き進めるうちに、だんだん頭に「?」が浮かんできました。
というのも、「ワンチャン狙ってベタベタしてくるのがほんまに無理〜」と言ってる割には、一緒にご飯を食べてその後カラオケまで楽しんじゃってるんです。
私は思わず心の中で、「ほんまに嫌なんやったらナンパされた時点で断れるやろ……」と思いましたが、「まぁ怖くて断れへんかったんかな」と自分をなだめながら聞き進めました。

その後、私が「あ、こいつ、ナンパしてきた男の話じゃなくて、ナンパされるような可愛い容姿を持つ『自分』の話をしたいんやな」と確信に変わった瞬間があって、それは立て続けに話した話題が「バイト先の店長がセクハラしてきてきもい」、そして「成人式で会った男友達が急に告白してきてしんどい」というサザエさんも納得の立派な3本だてになっていたんです。

私はその時、Mに強い嫌悪感を覚えました。
嫉妬や妬みのような単純な感情ではなく、まるで自分の女子大生というアイデンティティを侵害されたような複雑な感情でした。

自己肯定感の軸が男の評価軸なのが、許せん

一緒にMの話を聞いていたKはすかさず、「ほんま、男ってきもいよな〜」なんて調子のいい相槌を打っているけど、口が悪いことは重々承知の上でいうと、セクハラしてくる男ももちろんきもいけど、男からモテることを誇りに思いつつも男を悪者にしてしか女にマウント取れないあんたも結構気持ち悪いぜって感じでした。てか、自分の自己肯定感を男の評価軸に預ける事自体、なんか許せんって感じです。

なぜここまでただの自慢話にイライラしてしまうのか?
私が出した答えは、女子大生って、良くも悪くもたくさん特権を持っているんです。女子大生をセクハラオヤジ語に訳すと「sexしても法には触れないし、若くて、大学に行くくらいの教養もあって、でもいい感じに純粋無垢な女」とでも訳しましょうか。ついでに顔も可愛けりゃ、そりゃーチヤホヤされます。
しかし、その特権は歳をとるとともにどんどん失っていく、期限付き、条件つきの特権なのです。

その特権の落とし穴を分かって、こっちからあえて利用しているならまだしも、本当に純粋無垢で女子大生になった子が、「なんかわからんけど、大学生になって急に出会いが増えていろんな男の人にモテるようになった。もしかして自分ってすごい?」って思って、調子に乗っちゃうのがなんか腑に落ちない。
そして気づけばいつの間にか、心や体をすり減らしてまで「若い女」を武器にする。それってすごく悲しくない?って言いたいんです。

実は私にもある特権。そしてセクハラを黙認している自分がふがいない

結局私は、Mが気持ち悪いわけじゃないんです。本当に気持ち悪いのは、自分自身も女子大生の特権を持ち、チヤホヤされてしまうという事実。だから、同世代の女しかいない大学内でずっとファイティングポーズしながら話してるより、男友達や目上の人といる方がよっぽど居心地がいいと感じてしまう。
そして普段からチヤホヤされてると、たまに胸を揉まれたって多少気心許してる奴ならまぁいっかってなってしまう。そんな女子大生の特権に甘んじて、セクハラを黙認している自分が何より不甲斐ない。

フェミニズムは、女が女であることを誇りにすることだと思います。でも、私は男社会でチヤホヤされる立場に味をしめてしまった。だからこそというかなんというか、同じ立場でその事実を理解せず調子に乗っている女がどうも気に食わない。
そんなフェミニストですが、これってありですか?