頼まれてないし、無理にやっているわけじゃない。あくまで私の欲を満たすため

「えっ、さすがですね〜、私知らなかったです、すごーい、センスありますっ、そうなんですね〜、え〜」
ポイントは語尾をハートマークで全部上げること。もうワンステップ言うなら、両肘をついて頬に手を当てて、首を傾げながら、きゅるんって揺れて言えばいい。
胸元には小さなネックレス、耳元には大きく揺れるイヤリング。目元はキラキラなアイシャドウ。リップはちょっと強めで。

ここは飲み会の席の場、目の前の年上の男たちは大体これで気持ち良くなるし、私のことを好きになる。
別に誰にも頼まれてもないし、辛いのに無理にやってるわけでもない。あくまで私の欲を満たすための枕詞。「可愛いね〜」って姫のようにチヤホヤされるのが好きだから。ただそれだけ。

世の中、オリンピックですら女性軽視の発言があったように、女性論で揺れている。女性なんだからという偏見ばかりに皆が気を取られている。皆、大事なことを忘れてはいないか。
女である前に、私は私。
人種や性別のようなもの、社会的地位や立場のようなもの、そういうもの全て含めての話だ。
特に日本は歴史を辿れば、女ばかりが偏見の渦に晒されるのは仕方のないことだという考えもあるだろう。だが今を生きる女たちに歴史など関係ない。私もそうだ。

男を悪く思わず済むように、自分が蜜を吸えるようになればいい

最初に話した私の飲み会の話を一つ。
飲み会の席で男が、セクハラ発言をしたとしよう。私はその発言で傷ついたりするのはもちろん嫌である。だから先に、私にそんな発言をさせない、又はしたとしても周りの男たちが止めたくなるような可愛い女を演じて楽しんでいる。
可愛いという眼差しで姫のように扱われる飲み会を楽しんでいる。男たちをもてなしてるのではない、あくまで私が男たちにもてなされるのだ。
このスタンスを持つと全てが楽しくなる。男たちを悪く思うのは簡単だが、私にとっては気分が良くない。なら、悪く思わず済むように、自分が蜜を吸えるようになればいいというのが私の考え。

あざと可愛いという言葉が最近流行っている。本当にその通りなのだ。
あくまで自分のため。自己肯定感を上げたり、承認欲求を満たしたり、そのための行動に繋げて考えればいいのだ。私も男のちょろさを実感するのが楽しくて仕方がない。
飲み会だけではなく、男や他人と関わる機会全てに言えることでもある。私は可愛いと言われることが好きなので、あざと可愛いを武器に生きやすいプランを作って毎日を過ごしている。
女の数だけ種類はたくさんあるだろう。それこそカッコいいを貫く女、金にしか目がない女、彼氏より推し君な女、どれだってめちゃくちゃ素敵だ。
そんな女たちの、毎日を生きやすくするポイントが、人と関わる心持ち、スタンスだと私は思う。

自分と自分の欲を明確に持って生きることが、楽しく生き抜くポイント

あくまで、「自分はこう思ってるからこうしてる」を持って行動できる女たちは毎日が本当に楽しいと思う。ジェンダーギャップ指数120位という地獄みたいな順位の国だとしても、楽しんで暮らしてると思う。私だってそうだ。

もちろん、本当に悪い男や人間に対しては、しっかりと告発すべきだと行動できるのも、楽しんでいる女たちの共通点だと思う。
私はあくまで可愛いが欲しいので、例えば飲み会の席で、向かいの席の男にセクハラ発言をされたら、隣の席の男に頼るふりをしてその人に冗談ぽく注意させて、その場で私に謝らせてから、私が「も〜」って言って顔を膨らませて、「百は可愛いからさあ」って言わせて場が笑うまでがシナリオにしちゃうな。
その時の私はあくまで可愛いが欲しいからその行動をしただけで、スタンスはそのとき次第。だけど、自分と自分の欲を明確に持って生きていくのが、今の世の中を楽しく生き抜くポイントなのかなって思う。

こんな文章を、私は3缶目のビール片手に、するめいかをしぃしぃしゃぶりながら書いている。ああ、楽しい。