私は人の頼り方なんて知らないし、頼りたいと思ったこともない。
私は勉強ができるキャラで、なんでも完璧にこなしちゃうキャラ。
周りにいる人から長らくそう思われてきたから、私はそのキャラを守り抜いてきた。
自分のキャラというプライドを守るため、必死になって努力してきた。

本当は超がつくほど効率が悪いのに。

キャラを守るために手に入れたど根性。人の頼り方も知らなかった

いつからだろうか。
私は自分のキャラを守るなかでド根性を手に入れ、努力すれば大抵のことは一人でできるようになった。
むしろ、一人でやったほうが楽で早いとさえ思うようになった。
やるからには120%を目指したいという自分の首を自分で締めるような性格も相まって、自他共に認める、素直さが欠如したプライドの高い人間となった。

誰かに力を借りようなんて、ないない。
そもそも、人の頼り方なんて知らない。

そんな人間だった高校3年生の冬、大事件が起きた。
第一志望校であった大学から、不合格の通知が来たのだ。

なんとなく嫌な予感はしていたのだが、いざ現実を突きつけられると頭が真っ白になり、その後のことは何も覚えていない。
しかし、なぜだか涙は一滴も出なかった。
自宅で一緒に合否を確認した母から、何と声をかけられたかも覚えていない。
ただ、一つだけ覚えているのは、私が浪人すると言い張り、母に反対されたこと。
私がやると言ったことを否定したことは一度もなかった母に、大反対されたこと。

不合格で受験について唯一話せる相手だった母にも相談できなくなった

受験期は友達と話すことも、先生と話すことも気が乗らなかった。
何でも話せた高校の気の置けない友人にも、いつも気にかけてくれていた先生にも、受験について立ち入った話はしなかった。
周りにいる全ての人が、私には敵に見えた。
父も、私の受験に関しては一切口を出さなかった。
したがって、私が受験について話すことができる相手は母だけだったのだが、不合格が分かった後、私は母にも進路について相談することができなくなった。

そんな私だが、なぜか同じ部活に所属していた一つ上の先輩にだけは、自分が思っていることを正直に話すことができていた。
高校生活のこと。私が通っていた塾のこと。第一志望校のこと。そして、その大学に落ちたこと。
不合格通知から数日後、放心状態で家に引きこもっていた私を呼び出してくれた。

初めて自分の気持ちに素直になれたとき。私は人を頼りたかったんだ

2月の寒い中、何も考えずに外出し、先輩が買ってくれていた暖かいペットボトルを握りながら、とにかくたくさん話をした。

そこで先輩に「第一志望校に落ちました」と自分の口から言えたとき、涙が滝のように溢れた。
何だかとってもすっきりした。
この時初めて、自分の気持ちに素直になれた気がした。
ずっと味方だと思っていた母にも自分の本音を打ち明けることができなくなり、自分で処理するしか術がないと思っていたぐちゃぐちゃな気持ちが、晴れたような気がした。
お先真っ暗な未練タラタラ娘であった私は、先輩の大学生活について話を聞くなかで、自分が選ぶべき道は浪人ではないと確信した。

なるほど、これが人を頼るということか。
本当の私は、実は人を頼りたがっていたんだ。
私は全然完璧なんかじゃない。弱さの塊だ。

等身大の自分でいることで、私は息をすることができる。
このことに気づけたから、これからは自分に素直でいられるね。