就職して3日で人間関係につまずく。朝が来るのが怖い
人に頼るのが苦手。
それがどれほど自分を苦しめるのか、痛いくらいわかっているはずなのに、やっぱり簡単に直すことはできなくて、自分で自分を苦しめながら今まで生きてきた。
本当は頼りたかった。だけど頼り方が分からなかった。自分がちょっと大変な思いをして済むのなら、それでいっかと諦めることも多かった。ボタンひとつで「わたし今、悩んでますよー。助け求めてますよー」っていうSOSを知らせる機能が人間にあればいいのに。
就職して3日、すでに仕事に行くのが嫌だった。人間関係がうまくいかなかった。小さな会社だったし、同期がいるわけでもなかったから、すでにある輪の中に入ることは容易ではなかった。しかもなぜか一人の先輩に目をつけられていて、初日から冷たく当たられた。
仕事のやり方を聞いても「できることやって」「これくらいわかるでしょ」それだけ言われて、何も教えてもらえなかった。だから自分も聞くことをやめた。
そしたらそれはそれでまた気にさわったようで。その先輩が中心で輪ができていたから、それをもってわたしのこの職場での居場所はなくなった。
それからずっと、朝が来るのが怖かった。「朝が来るの怖い」で検索をかけた時にはさすがに自分でもやばいと思ったけど、だからといって誰に打ち明けることもできなかった。
毎日「はぁ、行きたくないなー」くらいは口に出せたけど、そんなのは誰にだってあることだから親もまた言ってるよくらいにしか思っていなかったんだと思う。
だけど本当は今すぐにでも辞めたかった。人の前では冗談っぽくしか言えなかったけど、仕事に行く途中、このまま階段から落ちてしまいたいと思ったこともあった。
でもそんなことは誰にも言えなかった。
夕食で鍋を囲んで号泣。慌てる家族の姿に笑いながら泣いた
昔からどこかカッコつけてるとこがあって。人一倍弱いくせに、弱い人間だと思われたくない自分がいた。自分を知られるのが怖かった。なのにどこか、悩んでいることに気づいてほしい自分もいて。本当にめんどくさい人間だと自分でも思うけど、自分自身どうしたらいいのか分からなくなっていた。
そんなある日、わたしの感情はコントロール不能になった。
その日の夕食は鍋。いつものように家族みんなでテーブルを囲んだ。テレビではわたしの大好きなイントロクイズが流れていた。いつもだったらみんなと一緒にクイズに答えて一喜一憂していたはずだった。
だけど、その日のわたしは鍋を食べながらなぜか泣いていた。何の前触れもなく。涙が一粒二粒流れ落ちたとかのレベルじゃなくて、号泣だった。
自分でもわからなかった。何をきっかけに涙が溢れだしたのか。それと同時に、わたしの突然の号泣に慌てる家族の姿が滑稽で、それを見てわたしは笑った。笑いながら泣いた。
今その時の情景を思い浮かべるともう恐怖映像でしかないのだが、その頃のわたしはそれほど追い込まれていたのだろう。
親に初めて打ち明けた。「仕事を辞めたい」としか言えなかった
気が済むまで泣いて、落ち着きを取り戻したわたしは、初めて親に悩んでいることを打ち明けた。
「仕事を辞めたい」。たった一言、それだけを伝えた。
また涙が出そうになったから、それだけしか言えなかった。
だけど親の返答も簡単なもので、「辞めたいなら辞めればいい、でも最後はちゃんとしなさいよ」って。その瞬間心がスッと軽くなったのがわかった。
反対されたらどうしよう、甘えるなって怒られたらどうしよう、心配かけたらどうしよう、いろんなことを考えていた。だから親からの一言に正直驚いた。
えっ、それだけでいいの?って思った。
だけど、その一言がわたしが求めていた言葉だった。
きっと反対したい気持ちも、甘えるなって怒りたい気持ちも、心配も全部あったと思う。だけど「あんたの人生だから」って最後にそれだけ言って、何事もなかったかのようにまたテレビに戻った。
人を頼って初めて、その人がわたしのことをちゃんと考えてくれていることに気づけた。人に弱さを見せることで、自分が少しだけ強くなれた気がした。
ずっと要らないプライドが自分を苦しめていた。どんなにカッコ悪くてもいい。いつもカッコつけてる必要なんてない。人に弱みを見せられる強さを身につけたい。そう思った。