私は現在大学3年の大学生で、学業とバイトと就活に日々追われて、追い詰められている。その中でも特に私を追い詰めたのは、就活だった。
このご時世、いろんな説明会をオンラインで聞くことができる分、他の人に後れを取らぬよう1社でも多くの話を聞き、ESや面接の対策だってある程度した。
しかし、いくらやっても正解もゴールも見えない就活は周りの人との差を常に感じさせ、将来への不安を煽るだけで、私はどんどん精神をすり減らしていった。

たびたび泣き崩れ部屋に閉じこもろうとする私を、両親は何度も引き止め、話を聞いてくれたが、ある日母も一緒に涙を流した。その涙をみて私は「これ以上迷惑をかけたくない」と強く思った。

私は人に頼ることが苦手だ。理由は多分迷惑をかけたくないから。
そうは言っても、一人ではどうすることもできないところまで来ていることには気が付いていたため、専門家を頼ることにした。それが仕事の人なら迷惑だと思わないだろうから。

正解もゴールも手探りの就活。すり減った精神を癒すために向かった先

事前に話す内容を決められずに来てしまった私は、やや緊張して相談室のドアを開けたが、その日はカウンセラーに伝えるための情報を整理するために事務の方とお話をすることになった。
カウンセラーが何でも治してくれるとばかり思っていた私は拍子抜けしたが、その方に「ゆっくりでいいのでお話聞かせてもらえますか」と言われ、私は号泣した。
人前ではじめて。まだ具体的な悩みは何一つとして話していないのに。
そこから落ち着いて、今の就活の状況や将来の不安など、いろんなことを話した。そして3日後のカウンセラーの予約をとって帰った。

3日後、会いに行ったカウンセラーの方は男性だった。男の人と1時間1対1で会話するなんて初めてだったが、その日も私は泣きながら話した。
正直、今となってはその時に何を話せていたのかあまり覚えていない。特別な治療をしてくれるわけではなかったが、話を聞いてもらうだけで心が軽くなっていった。それから週に1度程カウンセリングを受けるようになり、次第に私は過去の話をするようになった。

頼ることは弱みを見せること。過去の私は嫌われることが怖かった

人に頼られることが多く、それが好きな過去だった。昔から学級委員やら実行委員やらの役割に立候補することが多く、リーダー的存在として私はいろんな人の話をよく聞いた。
しかし、就活の質問でなぜリーダー的な立場に立候補したのかを問われたときに何も浮かばなかった。それらしい理由で「人の役に立ちたい」や「物事の全体を把握するため」など言っていたが、全くしっくりきていなかった。
でもカウンセリングで同じ話をしていると、「人に『頼る』のではなく、役割上『任せる』立場であることが楽だったのかもしれない」と思った。誰かを頼ることが、人に弱みをみせているようで、いつもと違う自分を見せることで嫌われるのが怖かったのだ。

私が辿り着いたその理由は何ともネガティブで、就活では全く使えないものだったが、それよりもしっくりきたことが嬉しかった。
それから毎週いろんな話をした。就活でアピールするのは苦痛で仕方なかったのに、今は「あのね、あのね」とねだる子供のように自分の話を聞いてほしくてたまらない。

他人が捉える私を受け入れる。他人から見える新しい自分との出会い

今まで『自分を1番知っているのは自分』と思って疑わなかったので、他人が言う私を全く信じていなかった。でも誰かを頼って、関わることで、私が知らない私が現れるのかもしれない。そうやって変わっていくのかもしれない。それを知るのが怖い反面、少しだけワクワクしている。

今こんな時期になって、私はあの時よりも就活をしていないし、あの時のように頑張ってもいない。そのこと自体は焦っている。でも今、私はどの時よりも私な気がする。
それは誰かを頼って関わったから、出会えた私なんだ。
先生、いつも私の話を聞いてくれてありがとう。