優しい先生は「頼っていいんだ」と声を荒げ、私の殻を破っていった

「自分1人で生きていける強さが欲しい」
中学生の頃からの私の夢だ。
通っていた中学がとても嫌いで苦しかった。
だけど、そんなことを言うと母親は「こんなに教育費払ってるのに」と泣いた。
苦しかった。
こんな学校にたくさんの学費を払ってもらっているこの状況が。
弟が知的障がいを持っていて、家では常に弟が主役。
居場所なんてどこにもないような気がして、家では逃げるように自分の部屋に籠るようになった。
苦しくても辛くても子供の私にできることなんて何もない。どんどん息が出来なくなっていった。
学費の重圧から逃れたくて、親が納得するだけの偏差値の公立高校へ行くため必死に勉強した。
高校進学後、私は常に笑っていた。
なにも起こらないように。
問題にならないように。
いい子で誰からも好かれる女の子を必死で演じた。
その日は突然来た。
「どうしたの」
ある先生が私に声をかけた。
いつもなら、「え?なにがですか?何もないです、大丈夫です!」なんてヘラヘラ出来たのに。
その時、私はボロボロと泣いてしまった。
自分でも分からない。
たしかに、その時クラスの人間関係が上手くいってなかった。
だけど今までだったら我慢できていたはずだ。
それなのになんで。
それから先生は、あっという間に私の分厚い殻を破った。
他の先生と連携を取り、私がクラスに行かなくていいようにしてくれた。
受験期なのに何してるのと呆れる両親からも守ってくれた。
先生は言った。ごめんなと。今まで気づいてやれなくてごめんと。
先生が生徒に謝るなんてととても驚いた。
そしていつも私の話を聞いてくれた。
私がいつも距離を置いていた担任の先生は、本当はとても生徒思いの優しい先生だった。
ある日、私は言った。
「ごめんなさい。ここの学校の担任が凄く大変なの知ってます。なのにこんなことで迷惑かけて。私はもういい大人なのに……上手くやれなくてごめんなさい」
ずっとずっと謝っていた。
なんで私はいつも上手くやれないんだ。
失敗ばかりで周りに迷惑ばかりかける。
私くらいしっかりしなきゃと思ってた。
辛いこと沢山あったけど、お母さんやお父さんが嫌いなわけなくて。
私くらいは、しっかりして迷惑かけないようにと頑張ってきたのに。
すると、その優しい先生が初めて声を荒らげた。
「いい加減にしろ。お前はまだ子供で、ただの17歳で!まだ甘えていい年なんだよ!弟さんだって関係ない!お前は頼っていいんだ!お前は人に頼ることを覚えろ」
ぼろぼろと涙がこぼれた。
それは前のように苦しい涙ではなかった。
いいの?
私も誰かを頼っても。
頼ったら迷惑じゃないの?
頼ったら悪い子じゃないの?
……頼ったら助けてくれるの?
先生はずっと守ってくれた。教室や家族から。
忙しい中、毎日私の親に電話を入れ、私が家で孤立しないように親のメンタルケアまでしてくれた。
あれからもうすぐ10年経とうとしている。
あれから私は人に素の自分を見せることができるようになった。
ボロボロな素の私でも受け止めてくれる人がこの世界にいるんだと、あの時先生が教えてくれたから。
あの時、先生に救われていなかったら今も私は仮面をつけ、孤独に苛まれて。生きていたのかも分からない。
人に頼るということが、生きる上でどれだけ大切なことか。
人に心を開くことが、どれだけ生きやすくなるのか。
あの高校で、私は勉強よりも大切なことを教えて貰った。
先生。
あの頃、ボロボロ泣いてばかりだった私は、今では心を許せる沢山の人達に囲まれて心から笑えてるよ。
ありがとう。
今度は私が誰かを救えるように頑張るね。
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