「わたしがやりたいこと」と「お金」はトレードオフじゃない。
社会人になって3年目、それなりに社会の厳しさを垣間見た私は今、未来への期待を込め、こう考える。
「趣味、恋愛、家庭>>>>仕事、お金」が私の価値観だった
もともと、私の基本的な価値観の相関図は「趣味、恋愛、家庭>>>>仕事、お金」だった。
お金はいくらでも融通がきくが、時間や若さ、ワクワク感は失ったら戻らない。貯金などすべきではない、とさえ考えている(入社3年目のOLだが、現時点の全残高は3万円だ)。
この価値観の構成には、幼少期からの「お金よりも大事なものは沢山ある」という祖父母の教訓と、仕事に没頭せず趣味を楽しみながら私や兄弟の部活に熱心に協力してくれた両親の姿が大きく影響する。
大学を出た私は、好きなことをやりながらそれなりのお給料もらって、あてはないがいずれ起業もしてみたいな、などと考え、激務ではないが給与・福利厚生が手厚い日系大手に就職した。
彼との同棲を機に、やりたいことへの思いが膨らんでいった
しかし、20代も後半に差し掛かる今、一つのライフステージを機に、この価値観相関図がゆらぐこととなる。
そのライフステージとは、愛する彼との、結婚を見据えた同棲の開始だ。自然派で愛情深く、懐深くていい匂いのする彼は、優秀で、割と「高所得で倹約家」である。先を見据えて、同棲により年間どれだけの貯金ができるか、嬉しそうに話を進めてくれる彼。
一方、夢にも見た同棲なのに、前のめりに検討できない自分がいた。
それは、入社してから抱えていた「転職」への思いがいよいよ高まっていたからである。
今後一生なんらかの仕事に従事できるとすると、私たちは人生の30%を仕事にかけることになる。この時間を、自分のやりがいの持てること、好きなことに捧げたい思いが強まったのだ。
仕事をする中で、私には自分主導で「つくり上げる」ところに携わりたいという思いが強くあることに気づいた。
ダンスの先生にもなってみたい、フラワーデザイナーの道に進んでみたい。はたまた、プロモーションの業務に携わってみたい。コロナが落ち着いたら、大好きなスリランカのツアーガイドもやってみたい。このような妄想ともいえる自身の想いが、無視できないほどに膨らんでいた。
しかし、クリエイティブな仕事であればあるほどに、未経験での職種転換は大きく収入を下げ、しかも家賃補助等も受けられない。
やりたいことと、お金を得て家族の生活水準を保つことはトレードオフなのか、心底悩んだ。
やりたいことでお金を稼げるようになるために、今は自分に投資を
ここまで、一通りの思うところを全て彼にぶつけてみた。
彼から返ってきた言葉は、「お金貯めてやりたいことやったらいいじゃん」だった。
確かに、やりたいことをやるにはお金が必要。でも、いつか好きなことや、やりがいを持ってできることでお金を稼げるようになるのであれば、万々歳だ。その時をめざして、今は好きなことを自分ができる範囲で磨き、投資していけばいいのかも?
とりあえず、PRは実務で学びたいので転職はしたい。
このように考えながらも、自分に甘い私は、悶々と今の会社に所属しながら、ダンススクールに通い、週末にはフラワーアレンジメントの派遣に勤しみ、彼の待つ家に帰宅するのだ。
「『私たちがやりたいこと』と『お金』は、トレードオフであってはならない」
こう思いながら。