何のために働くのか。
よくそんな質問を耳にするだろう。
「やりがいを得るため」
「自己成長のため」
「上司や同僚、後輩と接することでのコミュニケーション能力向上」
「社会貢献」
これらは面接等で質問された際の模範解答、すなわち表向きの理由。本当にそう思っている人もいるだろうが、少なくとも私は、上記のことなんてどうでもいい。
私が働く理由は、「お金が欲しいから」。それだけである。

お金を得るために働く。でも、私は仕事が好きな方で、多少の残業も平気だった

一部の人を除いて、大半の人は本来の理由はこれではないだろうか。
生きるのには衣食住が必要である。
衣食住を得るのにはお金が必要だ。
また、自分の欲を満たすのにもお金が必要。
生きる=お金、である。
お金を得るには労働が必要となる。

私は業務内容に関して、好きか嫌いかを問われると割と好きな方である。
別に望んで今の仕事を始めた訳ではなく、たまたま配属された職場での業務が自分に合っていただけだ。
業務内容は好きなので、忙しくても、多少残業しようと別に平気だった。最初は。
ある時からひとつ疑問が生まれた。

私が忙しくしている一方、ただ座っている後輩のほうが給料が高かった

それは、とても忙しい日に様々な業務がひっきりなしに来ていた時だった。
私は同時並行でそれらの業務を何個もこなしていた。
そんな中でふと目に入った後輩の姿を見て疑問に思った。後輩と言っても年齢は私より上で、入社して半年ほどの社員である。
年功序列である私の会社は社歴よりも現年齢によって給料が変わる。
その後輩社員は私より年上であるため給料が高い。
話は戻るが、その時目に入った後輩の姿は、ただ椅子にぼーっと座っているだけの姿であった。
私は走り回るほどいくつも業務をこなしているのに、なんであの人は座っているだけで給料が発生して尚且つ私より高い給料なんだろうと思った。
その日から仕事に行く意味が分からなくなった。
お金を貰いたくて働いているはずなのに、働かざるともお金を貰える人間がいるということが理解出来なかった。

同じような疑問を持った人は私以外にも沢山いるだろう。
私はお金と労働は等価交換だと思っていた。
働けば働くほどちゃんと評価され、それが給与という形できちんと返ってくると思っていた。
しかし、どんなに今頑張っていても給料は変わらない。残業代なんて雀の涙程度である。
毎月給与明細を見ては愕然とする。
等価交換どころか身体への負荷がかかりすぎている気がする。
ここ数年間ずっと取れない疲れ。どんなに寝ても眠気は取れず、スッキリと目覚めることなんて何年経験してないだろうか。

好きな仕事だからやめられないが、疑問はくすぶり続ける

最初に私は「業務内容に関しては好きな方」と綴った。
なぜなら、上司や同僚からのパワハラ、残業しなければいけないような空気感、課内クラッシャー、休みを取りにくい等など……とにかく職場環境は劣悪なのである。
そんな環境下に置かれているから、心身ともに疲れ、体調を崩すわけである。
とっとと辞めればいいと思う人もいるだろう。
しかし、これを例えるなら恋愛のようなものであって……好きな人がいて、嫌いなところがあっても「顔が好き」や「性格が合うから好き」という自分の中で絶対に外せないところを満たしていればどんなにクズだろうと許してしまう、恋は盲目のような……そんな感情に近い。
別に会社に恋していないが、私の中で「業務内容が好きか嫌いか」という上位で重要視している点をクリアしているからなかなか辞める気になれないわけだ。

当分は今の会社の世話になるだろう。
しかし日々過ごす中で「お金と労働は等価交換ではない」ということに疑問を持ち続ける。
この疑問はいつ解決するのか、まだずっと先なのだろう。