子どもだった頃は、かっこいい大人になりたいと思ってた。
もちろん今もそれは変わらずに、ずっと自分の中にちゃんとあって。
だけど、子どもだった時に思い描いていた未来とはかけ離れている。
このまま「普通」に生きていくのだと思い、未来や夢の話をしなくなった
小・中とそれなりに普通の生活を送っていて、「ああ、このまま自分は普通の生活を送って普通の大学に行って、就職するのかな」なんて思っていた。
だけどいつからか、未来の話・夢の話をしようとした時、自分から「大学に行く」って言わなくなり、自分の中から選択肢が1つ消えているのに気が付いた。
物心ついた頃から母親みたいな、汚い大人にはなりたくないって思っていた。
父親のようなかっこよくて、誰からも慕われるような大人になりたいって思った。
背中で学べって言われたことはないけど、父親は、私にとって小さい頃からの永遠のヒーロー的存在。
高校卒業後は音楽専門学校という道を選んだ。
専門学校に入る時に母親ととある約束をした。
学校を卒業する時には必ずどこかに就職するという約束。
卒業間近になっても就職が決まらなかった。
そう、私は母親と交わした約束を破ったのだ。
ハンコひとつで、変わらないと思っていた世界が変わったように思えた
卒業式の少し前。
当時お世話になっていたアルバイト先の上司にラインを送った。
「こんな私で良ければこのままいさせてもらえませんか?」
「もちろん、こちらとしては大歓迎だよ」
つまりはフリーターという道を自分から選んだのだ。
だけど、この上司からのラインに救われた自分も少なからずいて。
春からは学校の授業がなくなった分、仕事の時間が長くなった。
だけど、大事な仕事も任せてもらえるようになって、正直いえば嬉しかった。
学生という期間が終わってしまったけど、何も変わらない日々の中をそれなりに楽しんでいた。
それから月日は流れて、やりたいことを見つけた。
新しい夢を見つけた。
独学か、通学か。
悩んだけど、自分で決めた基準に照らし合わせて出した答え。
「やってみる価値はあるよな」
21歳の誕生日を迎える少し前、母親に大反対された学校の契約をした。
母親と面と向かって話しても、反対されることは分かっていたし、言葉ではなく行動でしか反抗声明を出す以外に方法がなかったのだ。
だけどそのハンコ1つで、ずっと変わらないと思っていた世界が変わったように思えた。
学校に通い始めて、友達が増えた。
夢を夢で話すだけじゃなくて、夢を現実で話せる環境が、そこにはあった。
夢を未来まで話せる世界が、ここにはあった。
年齢だけが人生の全てじゃない。憧れの大人に一歩でも近づきたい
アルバイトと学校という生活を続けていく中で、コロナという壁にぶち当たった。
コロナのせいで学校が2ヶ月も休校になるという経験をした。
だけど時間ができたおかげで、改めて自分の夢と向き合う時間ができた。
もう何度目か分からない、覚悟を決めた。
1つの作品を作るのに、こんなにも時間が必要だったんだって背筋を立たせられた、いい機会でもあった。
それまではずっと仕事があるからって、たった1つの理由に甘えていた。
それは自分以外の学校の友達だってみんな同じなのに。
この頃に店長を任され、お店全体を見るようになった。
何度季節が変わったって、その景色は幾度となく変わるけど、何度見てもその美しさにも、朽ちてしまうその儚さにも飽きないように。
自分の中にある大人という理想像を壊さないためだけじゃなく。
誰かを信じる勇気より、自分を信じる勇気の方が何倍も力が必要。
大人になったって、孤独や1人を感じることは少なからずあるから。
子どもにあって大人にないもの。
大人にあって子どもにないもの。
年齢だけが人生の全てじゃないから。
自分にとって憧れの大人に1歩でも近づける、日々の中を永遠に歩き続けるために。
自分は自分という存在意義を、自分だけが分かるように未来に続く永遠を確かめていたい。