どうか間に合って…走っても追いつけないこの焦燥感は以前にも

私は焦っていた。
国試を受けるため人で溢れかえる改札を疾走し、エスカレーターを全速力で駆け上る。歯を食いしばって、冬なのに汗をかいて張り付いたシャツの不快感を無視して、ただただ走った。
間に合うか、間に合って……!!
しかしエスカレーターの最後2段を残したまま、乗り換え予定の電車は無情にも出発してしまった。

走っても走っても追いつけないこの焦燥感、以前にも感じた気がする。

大学4年になる少し前に就活が始まった。合同面接に足を運び、くたくたになるまで練り歩いた。
日々ESを書きSPIテストを何度も受け、一日に3社も面接するなんて当たり前。
大学のシステムを使ってOBやOGにも積極的に話を聞きに行ったし、最大限自分をアピールした。

だけど、だけど……。
こんなに頑張っていても私に内定をくれる会社はなかった。

早く自立したくてインターン。そこで目撃した不条理

早く自立したくて、大学に入ってからほとんどの遊びを犠牲にして企業インターンに行ったのに。
日給制で夜まで働いて、計算してみたら時給500円を割っていた。でも自分の経験になるならと必死に成果を残した。
パソコンの見過ぎでドライアイになった。今でも目薬が手放せないけど雇用契約を結んでいなかったから労災はない。
まぁ雇用契約があっても保障されなかったと思う。
大学生のインターンでも関係ない、会社員とほぼ同等の責任と労働、そして成果を求められた。
今考えるとそんな会社はおかしいとわかるんだけど、あの時は若くて必死だった。

でもなんの役にも立たなかった。私がそうして努力した大学3年間を遊び呆けてた人たちから、内定が出ていった。
不条理に身を焦がした。
自分を認めない社会が憎らしかった。落ちるたびにお前の居場所はない、お前に価値はない、今までの人生も努力も全てが無駄なものだったと言われている気持ちになった。
結局1つも内定がないまま大学を卒業。

フリーターになった。ついでにうつ病にもなった。

提示された別ルート。人生の乗り換えも似ているのかも知れない

国試の朝、最初の電車が遅れたせいで1回目の乗り換えに間に合わなかった。スマホで調べると2回目の乗り換えも間に合いそうにない。

でも、その時提示された別ルートが目に入った。
途中のターミナル駅で降りて別の路線を使えば、2回目の乗り換えはしなくて済む。もしかしたらギリギリ間に合うかもしれない。
結局国試は何とか受けて合格したけど、その道には進まず、今はフリーランスのライターをやっている。

人生はこの乗り換えと似ていると思う。最初の1歩で躓いたらドミノ倒しのように崩れていく……。
でも少し視点を変えれば、ゴールに着くための別ルートが見えてくる。
しかも人生は国試の会場よりももっと柔軟に目的地を決められるものだ。
みんなが違うゴールを目指しているのに、みんな別々の道を歩いているのに、速度だけを競っているような社会に違和感を覚える。

ただ闇雲に一点しか見ないで突っ走った20代前半よりも、いろんな選択肢とルート、そしてペース配分を考えられるようになった分、大人になれた気がする。