バレンタイン、その言葉で私は女の子の可愛い自我を持てる。そんなこと言わなくてもただチョコレートが好き。イケメンと同じくらいに好き。とりあえずバレンタインって、恋愛依存な私からすると、とっても可愛くてビビッドなイベント。
告白だってしたことある。毎年好きな男の子or彼氏に手づくりチョコを渡すのはもちろん、友チョコだって小学生の時から作っていた。
でもそんな私は大学に入ってからチョコを渡す相手が増えた。
そう、画面の中の推し。
2次元にチョコが渡せるなんて、私知らなかった。
乙女ゲームで初めてのバレンタイン。イベントで推しにチョコを渡した
大学に入学してから私は、周りの可愛い顔で心をカモフラージュしたえげつないオタクたちにゲームやらなんやらを勧められていた。その甲斐あって私もいわゆる乙女ゲームにハマり、推しができた。毛穴一つない、めちゃくちゃにイケメンな推しが。
今になって考えてみたらアニメのキャラ、漫画のキャラにハマって推しができるのは普通のことだよなと思う。
でも、大学に入るまで全くそっち方面に興味のなかった私からすると、2次元にハマるのは気持ち悪いオタクだけだという偏見があった。頭の中でオタクたちに謝罪会見を開いた。
というのは置いといて、バレンタイン。
そのゲームをプレイするようになって初のバレンタイン。ゲームの中でも、現実のデパ地下のようにイベントが開催された。
ゲーム内でクエストをクリアし、素材を集めてチョコを作って、好きな推しに渡そうというもの。別に仕組みとしては普通だよなと思う。
試しにやってみようと私はゲームをプレイして、推しにチョコを渡した。そうすると推しがボイス付きで私に言った。
「へえ、俺にチョコくれるんだ……ふぅん、まあ、ありがたく受け取ってあげるよ」
?????
初めての感情。え、なにこれ、え、オタクの人たちはこれに悶絶して推しを崇拝しているのか??おおお……。
乙女ゲームはすごい。2次元の推しを好きになり、沼に落ちる音がした
わかりみ。わかるまる。わかるのすけ。私の負けだ。ずっきゅんだ。
乙女ゲームを馬鹿にしていた。すごいよ。日本の乙女ゲームはすごいよ。ブラボー状態になった。
私は、これまで2次元の推しに恋する心理などわからなかった。でも、よく考えると違った。きっとわからないことはなかっただろう。だって私はずっとジャニーズやアイドルが好きなんだから。
手を伸ばしても届かないアイドルを好きになる心理と、2次元の推しを好きになる心理は何一つ変わらないじゃないか。何て発見だ。リア恋、夢女、わあ……なんて可愛い単語、そして私に有り余るその素質。
ああ……沼に落ちる音がした。
とは言っても私にはその時、人間の彼氏もちゃんといたので、リアルなチョコも手渡した。
家のキッチンで、彼氏のためのチョコを作ってるときに聴くのは推しの曲。なんかちょっとだけ彼氏に悪いことしてる気分も私を楽しませてくれた。全部秘密にしてたからね。
ああ、イケメンって何人愛でても良いじゃない。そんな気分になった。
推しに夢中になった私は彼氏をフった。世界には知らない愛の形がある
ちなみにその時の彼氏くんは、推しに夢中になり過ぎた私にフラれた。今冷静になって考えると、私もしかして一途?ってなる。いや、たぶん彼氏に飽きちゃってたんだね。だって今その推しにも飽きてるから。
とは言いつつも、大学で2次元の凄さというか、やばさを知った私は結構楽しい。
世界はまだまだ広い。知らない愛の形もある。バレンタイン一つをとってもきっとまだまだある。
コロナということもあって、リアルでのバレンタインのイベント規模が縮小してる気はする。それでもこの先もいろんな世界の人がドキドキワクワクしちゃう、可愛くて愛おしくてちょっと危険で甘いイベントであってほしいな。
そんなことを、アムールデュショコラで自分のためだけに買ったチョコを口に放り込みながら、私は思うのでした。