入社して6年。自分の欠点を理解していまのスタイルに

地元の住宅会社に入社してから、今年の春で丸6年となる。主に建売住宅の設計をメインに、朝から晩までデスクワークに奔走している。

建売住宅の設計とは、社内会議を経て予め間取りを作成し、外装や内装全てを社内で計画した上で着工、竣工した物件をお客様に御内覧頂き、御契約頂く仕事の進め方だ。
御契約頂くお客様の御要望を、予め盛り込むことが出来ないため、近年のトレンド調査やお客様ニーズの把握が欠かせない。

私は元々内向的な性格で、他人と話すことが苦手だ。目すら合わせることができない。
建売住宅の設計の他に、お客様と打ち合わせを重ねてから住宅を建てる、売建住宅の設計という仕事の進め方もあるが、前述の通り、お客様と対面すると緊張で頭が真っ白になってしまう。お客様の前で平常な状態でいられないというのが、私の大きな欠点である。
その点においても、お客様と直接打ち合わせをしない建売住宅の設計の方が、私には合っていた。自分の特性を理解した上で上司と相談し、今の仕事スタイルを築き上げた。欠点を克服するのではなく、より仕事に集中して向き合うことができるよう、環境を整えてくださった上司には頭が上がらない。

やりがいを感じる仕事。直接感謝を伝えられることはないけれど

設計という仕事は、自分の頭の中にあるものを図面に表現していく作業だ。これは、パズルを一つずつ組み上げる作業にも似ている。様々な要素をピースに見立てて組み上げていくと、一つの住宅の設計図が完成していくのだ。
この作業が、私には堪らなく面白いものに感じる。
その上、これから数十年先も、私の考えた住宅が町の一部となって地図にも残るというのだから、感慨深い。面白くて魅力的な仕事に、日々やりがいを感じている。

しかし、実際に建売住宅を御契約頂いたお客様から、直接私個人に対して感謝を言われるような場面は少ない。既に建ってしまっている物件を御契約頂くのだから、設計者に思いを馳せるようなことはほとんどないのだろう。

時には、「もう少し収納が欲しかった」「壁紙が気に入らなかった」など、お客様がお住まいになられてから不満が噴出することもある。あるいは、そもそも物件が売れなかった場合、営業担当者から「良くない家だ」などと非難されてしまうこともある。
建ってしまった物は、そう簡単に直せない。

その事実を重く受け止めると、非常に悲しく、同時にとても悔しく感じる。
しかし、その気持ちはバネになる。「次こそはもっと良い物を作るぞ」と、気持ちが燃えていくのだ。

まだ経験不足だけど、楽しく取り組めば良い方向へ

そして、ごく稀にお客様より、
「設計者さん、とても使いやすいです。素敵なお家をありがとう」
と言って頂けると、全ての苦労が報われたと嬉しくなる。
顔も知らない、新しい暮らしを夢見るお客様のために、日々精進を重ねながら物作りをすることが、私はとても楽しい。だから、この仕事を続けられていると思っている。

私自身はまだまだ若輩で、経験不足も否めない。
けれど、どんな仕事も面白く、興味を持って楽しく取り組むことができれば、大抵のことは良い方向に向かうものだ。悔しい気持ちすら力に変えられれば、必ず私自身が成長できることが分かっている。

この春、私にもそろそろ部下がつくらしい。部下になる人には是非、「仕事は楽しく!」と伝えたい。
仕事を「楽しくない」と思ってしまう時があるのは、否めない。しかし、一つ乗り越えるごとに自分がレベルアップしていくことを思うと、まるでゲームで遊ぶかのようなワクワクさがあるのではないだろうか。

楽しくない仕事なんて、きっとやりたいとは思わない。だからこそ、「仕事を楽しくする」ための工夫やアイデアを常に考え続けて、自分にとって実のある面白い経験をたくさんしたいと思う。