「仕事は選ばなきゃ、何でもあるよ」
「まだ若いんだから、働き口ならいくらでもある」
この言葉たちは、私にとって呪いの言葉。惨めな気持ちになる。

履歴書なんて破り捨てたい。希望した職種は不採用

バイトの掛け持ちや、夜勤バイトも経験した事があるが、体力的にきつく、どれも長くは続かなかった。
正直、職歴なんて人にはとても見せられるようなものでもないし、自分の履歴書なんてビリビリに破り捨てたい。社会に属するのに履歴書が必要だという制度を撤廃して欲しい。フリーター歴も長く、「20代なのに正社員じゃなくていいの?」と、自分を責めてしまう事もある。仕事のことで常に不安な気持ちが心を支配した。

今まで福祉や接客業しか経験してこなかった私が、まず挑戦してみたいと思った職業が『編集者』だった。雑誌を読むのは好きだったし、短い人生の中で仕事をするなら、好きなことを仕事にしたいと思っている。
さっそく履歴書を送ってみたが、なかなか思うようにはいかなかった。若さが武器とはいっても、中途の転職活動はなかなか厳しい。

編集者の求人は、気になった所をたくさん受けた。雇用形態は正社員、アルバイト問わず。書類通過をして面接まで辿り着けたり、SNSを通じて出会った人からの紹介で、面接をしてくれた企業もあった。
「編集者として頑張りたい!」という意気込みで、企業調べや面接対策を念入りにして、当日を迎えた。それにも関わらず、緊張で上手く自分をアピールすることが出来なかった。どの企業の面接官からも厳しい言葉をたくさん受けた。
結果、どれも不採用という結果に終わる。

接客の経験を生かそうとしたけど、採用の連絡に恐怖で辞退

職種を選びすぎるのも良くないと思い、転職活動においての自分の考えを見直した。とりあえず、接客の経験を生かせそうな職種の求人に応募してみることに。営業やIT企業など……。
営業職の面接を受けた時、緊張で思ったように話ができず、面接官から「ちゃんと面接対策してきたの?」と笑いながら言われてしまった。
ちゃんと面接対策はやってきた。でも、やる気が伝わらなかったんだと思う。正直、営業職なんて自分には出来ないと思っていたから。

新しく出来たばかりの会社で、中国人の社長が経営しているプリンター営業職の求人に応募し、面接をしてもらった。この時の面接も緊張でいっぱいだった。
何度、面接を経験しても緊張は付き物。正直、面接は苦手だし、出来る事ならやりたくない。
後日、クライアントから電話で「採用されました」と報告を受けた。しかし、自分から採用を辞退した。
不採用が続いていたので、社会人として認められたという気持ちはあったものの、採用された事への喜びは全くなかった。営業職に苦手意識を持っている私が出来る訳がないと恐怖心を抱いていたからだ。それなので、営業職をしている人を尊敬の眼差しで見ている。

派遣会社に就職したが1カ月で退職。無職期間は半年に

転職活動で心がズタズタだった頃、知人からタイミングよく「仕事探してない?」と連絡があった。そこで、派遣会社を紹介してもらう事に。
とりあえず、話を聞きに行って雇ってもらえる事になったので、仕事探しに必死だった私にはとても有り難かった。

雇用形態は正社員だけど、クライアントと一緒に、働かせてもらえる企業を探しに面接へ行かなければならなかった。2社ほど面接を受け、インターネット関連のコールセンターで働く事になった。
クライアントからコールセンターの求人をよく持ち掛けられていたが、希望の職種ではないので断っていた。しかし、私の意見は聞いてもらえず、採用が決まった時は不安しかなかった。

「ここで何とか頑張ろう」という気持ちで研修初日を迎えたが、急な吐き気に襲われ、途中で早退する事になった。次の日も出勤したが、慣れないパソコン操作、覚えないといけない業務内容、短い研修期間で頭が追い付かず。同僚にも置いて行かれないように必死だった。コール業務の実践に入り、最初は上手くいって自信が付いたり、仕事にやりがいを感じていた。
ある日、嫌な客に当たって落ち込んでしまい、仕事に対する意欲がなくなってしまった。コールセンターへ行く事も嫌になり、派遣会社も1ヶ月で退職。派遣会社を紹介してくれた知人の事も憎んでしまい、「最近、どう?」という連絡も無視して連絡先を消去した。

「今までの自分を変えてみせる!」という勢いのあまり、仕事を辞めてから転職活動を始めて後悔したのも遅い。「私が生きている意味って何だろう」と、求人サイトを見ながらスマホを片手に家に閉じ籠る毎日。
いつの間にか無職期間も半年以上を超えていた。