私は一人の方が強くて、美しい。
私は愛するということが苦手だ。パートナーがいる時は全力で彼を愛し、いなくなったら自分を全力で愛す。だから、一人の方が魅力的でいられる。
彼氏と別れて号泣。けれど「一人」は、私をどんどん魅力的にする
大学4年の頃、はじめてきちんと付き合った彼氏と別れた。
就職も決まり、単位もほとんどとっていたので、卒業旅行やバイトに打ち込み、一番楽しく、怠惰な時期だった。一方で、彼氏は大学院の試験の準備や卒論のために研究に没頭していて、なかなか会うことができず、徐々に意見がぶつかり合うことが増えた。私の誕生日を忘れられたことが引き金となり、別れることになった。
友人が彼氏と別れて泣いているのを見て、たかが学生同士の付き合いなのに、涙を流すほど悲しくなるものだろうかと疑問だった。しかし、同じ状況に陥った時、当たり前に一緒にいて、愛してくれる相手がもういないという事実は予想以上にこたえ、初めて恋愛が原因で号泣した。
ただ、現金なことに、数日経つと前よりも更に良い男を手に入れようという気が、がぜん湧いてくる。
今まで彼氏に使っていた時間やお金を、自分のために使うようになった。どうやったらモテるのかと、トレンドのファッションやメイク、ヘアアレンジ、ネイルなどの研究に没頭した。その甲斐があってか、容姿を褒められる機会も増え、それゆえに自己肯定感が高まり、自信を持てた。
そして、合コンの回数を重ねるたびに、周囲への気遣いの仕方や男のツボが分かってきて、はじめは質問に答えることしかできなかった私だったが、MCばりの場回しもできるようになり、盛り上げ役として飲み会に呼ばれることが増え、結果的に友達も増えた。
気づいたら、今まで彼氏に手を繋いでもらえないと歩けなかったハイヒールだって、一人でも履きこなせるようになっていた。
30歳目前。再び訪れた「一人」の時間。相手も、自分も、愛せる私へ
昨年の秋、30歳を目前にして、2年付き合った彼氏と別れた。
この別れはかなり痛かったが、今回もやはり数日で彼への未練は断ち切り、次に進むための戦略を練り始めた。たくさん涙を流したからか、すがすがしい気分ですらあった。
学生と違って稼ぎがある分、スポーツジムや美容皮膚科、デパコスにお金がかけられるので、自分への投資額に糸目が付かない。また、彼氏と過ごす時間がなくなった分、キャリアアップやマネー関連の情報収集にも時間を充てることができた。
さらに、愚痴を言う相手がいなくなったからか、何か落ち込むことがあっても、すぐに自己解決するようになったので、悩む時間が減った。
今の自分を好きかと問いかけられたら、迷わず好きだと答えるだろう。まだまだ課題は山積みなので、ひとつひとつ解決していかねばならないが、それでも今の自分のことは好きだ。
ただ、周りが第二次結婚ブームに突入していく中、かなりの焦りを感じている。まだ、パートナーが見つかっていない今ではあるが、今度の恋愛は、相手だけではなく自分もちゃんと愛して、魅力的な女性として、妻として、母として、人生を全うしたいなと思う。