「やっぱり恋愛的な好きではなかったわ」
そう言われて振られたのは半年くらい前のこと。セックスが終わって、そういえば話があって、と言われて「怖い話が始まるの？」ときいたら怖い話じゃないよ、って言われたのに、やっぱり怖い話だった。

彼と付き合い始めたのはマッチングアプリがきっかけだった。彼氏と別れたばかりで、同じ世代の男性と知り合えたらいいな、くらいの気持ちで始めた。もちろん最初は彼氏を作ろうなんて思っていなかった。

彼は徒歩で会いに行けるくらいの近さに住んでいた。だから最初はお互いの中間地点くらいを散歩しようとなった。初めて会った時、見た目が全然タイプではないな、と思った。

でも話してみると、映画の趣味、食べ物など、共通の話題はたくさんあった。そして何より、初めて会った気がしないほどリラックスしながら話すことができた。だから、家で映画を見ようといわれた時にもいいよって返事をしたし、泊まっていっていいよって言われた時に、じゃあ泊まろうかなって言った。そして朝まで一緒に過ごした。
正直セックスはあんまりだったけど、終わった後の気遣いがよくてなんかいいなって思った。

恋愛的な好きなのかどうか、それが問題？

それからは狂ったように会った。週の半分以上会う生活が2ヶ月ほど続いた。彼からもマッチングアプリやめようと思ってるんだよね、とか。生理の時も会えるだけでいいよ、とか。思わせぶりなことを言われて勘違いするようになった。

そうして体を重ねるうちに、虚しさが押し寄せてきた。彼は体の関係としか思っていないんだろうか、先のない関係性に意味はあるんだろうかとか。年齢も邪魔をして、そんなことばかり考えるようになっていた。

終わったあと、好きかもしれない、と伝えた。そうしたら長い沈黙があって、好きってなんだろうって言われた。俺のどこが好きなの、とか。私が好意を伝えたことに対してのコメントはなく、ただただ気まずい時間が流れた。俺のどこが好きなの、って今考えてみても腹が立つ。その後にこのままの関係がいいかなって言われて、なぜかぬるっと2回戦が始まって、私の心が乾いていくのがわかった。

だから帰った後にもう会わないようにすると伝えた。セフレがほしい訳ではないし、気持ちが対等ではなくなった今、損するのは私だからだ。

そうしてしばらくした後、考えてみたら恋愛的な好きって気持ちがあることに気づいたと言われた。もう一度話そうと。もう一度だけ話を聞いてみてもいいかなと思って、後日昼間の公園で会うことにした。

結果付き合い始めることにした。これが馴れ初めである。そして冒頭に戻るが、恋愛的な好きではなかったと１ヶ月後に言われた。話を聞いていくと、恋愛的にタイプではない相手だとわかっていたが、付き合ったら好きになるか実験をしていたと言われた。その後も散々謎理論に私も当てはめられ、寝られない夜を過ごした。

恋愛的な好きの謎は解けないけれど、きっとそのうちわかるはず

恋愛的な好きってなんだろう、会いたいって思ったりするだけじゃダメなんだろうか。

そこからしばらくは、言われた言葉の数々を思い出しては落ち込み、が続いた。友達は私以上にそのことについて怒ってくれた。そんな支えもあって2週間くらいしたら割と前向きに考えられるようになったし、３ヶ月経った頃にはこんなんで落ち込んでるの時間の無駄だなって思って新しい出会いを求めることにも積極的になった。なんだか自分に自信を付けたくてパーソナルジムにも通って、体がいい感じになってきて今は最高の気分だ。

今でも恋愛的な好き、についてはなんなのか分からない。でも自分の感覚に従っていたらそのうち分かるんじゃないかな、と楽観的になってきた。そんなことを考えながら私は今日も新しい出会いを求めて、おしゃれをして、街に出る。