相手のために行動することが、「一番良い」と思っていた

29歳の誕生日を目前に、3年付き合った彼氏と別れた。
大きな喧嘩があったわけではない。プロポーズ待ちの状態だった。ただ彼と一緒にいる未来は私らしくないんじゃないかと思ったから。本当に私はこの人と幸せになれるのか不安になったから。

こうして私は一人で過ごす時間が増えたわけなのだが、一人っ子だからか昔から一人で過ごすことは私にとって普通のことだった。それでも今と昔では一人で過ごすことに対しての考え方が変わったと思う(コロナも相まって)。

別れるまでは、相手のことが一番。自分に自信がなく、自分の意見を言うことが迷惑をかけるんじゃないかと思っていた。
それは仕事でもそうだった。もちろん相手のことを考えて相手のために行動する時も必要だと思うが、当時の私はそうすることが「一番良い」と思っていた。
付き合っていた頃も、一人で好きなことをすることはあった。ただそれは、先に相手の予定があって、二の次。相手のことを大切に思うあまり、都合のいい人になっていた。相手には目がいっていたけど、自分には全く目がいっていなかったのだ。

なりたい自分とは何かを考えた。私には大きな一歩だった

3年間何をやっていたんだろう、自分のために何かしただろうかと凹んだ。
友人たちは結婚したりキャリアを順調に築いたりが目に入って、余計に落ち込んだ。早めに気づいて自分のために行動を起こせばよかったと後悔もした。その時上映していた「東京リベンジャーズ」のように、過去に戻れたらどんなに良かったかと心から思った。
だけど現実では絶対にあり得ない。それなら今できることをしようと思い立った。

自分がなりたい自分とは何かを考えた。夢とか野望とかは全然思いつかなかった。小さいことを一つずつ積み重ねていくことしかできないけれど、私には大きな一歩だった。

手始めにコロナ中に増えた体重を戻した。一人の時間が増えたから色んな宅トレ動画を見て、長い時には1時間体を動かすようになった。
物理的に体が軽くなったことで、いろんなところに行こうと思うようになった。コロナの影響で遠くには行けないが、今まで「まあいっか」と思って行っていなかった美術館や映画。もともと好きな舞台にも2か月に1回のペースで観に行っている。

欲張りだけど、今が一番楽しいし幸せだと胸を張って言える

改めて自分を見つめ直す良い機会になったと思う。舞台も、なぜ好きなのかは考えたことがなかった。何となく好きだと思ったものを、具体的な言葉でノートに書き出していった。
現実とかけ離れていて夢のような時間が過ごせるからとか、開演前の糸が一本ぴんっと張られたような緊張感が好きだからとか(出演者の顔が良い、という理由で脳内ディスカッションが収束することもある)。

今でも何かを好きだと思った瞬間、なぜそう思ったのか考えるようにしている。特にエンターテイメントは日々の糧になっている。
魅力的な作品に出会ったり推しの俳優を見つけたり、推しのグループの曲を聞いたり。隙間の時間を埋め尽くしていく。自分が何にテンションが上がるのかがわかるようになって、一日一日がより楽しくなった。

フットワークの軽いうちに、食わず嫌いにならずたくさんの世界を知りたい。そのための体力もつける。着たい服も着たい。綺麗に年を重ねていきたい。たくさんの推しや作品と出会いたい。
とっても欲張りな私。欲張りだけど、今が一番楽しいし幸せだと胸を張って言える。
去年までの私には言えなかったこと。別れは出会いの始まり。これからたくさんの出会いが私を待っている。