私の心が満たされることの9割は、彼の言動に起因していた

私は自分を自分で満たす力が欲しい。

私は以前、とある男性に依存してしまっていた。彼は聡明で社交的、余裕があって、容姿も端麗。私とは雲泥の差がある人物だと思っていた。
そんな彼と、特段仲良くさせてもらっていた時期があった。食事に行ったり、ドライブに連れて行ってもらったり。その最中にする会話には、勉強になる内容も多い上、私が喜ぶような言葉もかけてくれた。嬉しかった。彼といる間は本当に満たされた気持ちになった。

しかし、彼にとって私という存在は、おそらく仲の良い友人の一人だったのだと思う。彼から私を必要とする気持ちは感じられなかった。そのため、一緒に過ごす時間以外は特に音沙汰なく、私から何らかの連絡をすることが多かった。
私は彼を慕うけれど、彼は私のことを特別に思ってくれているわけではないのだと思ったら悲しくてつらかった。

どうにか彼から必要とされるような価値のある人になろうと努力した。魅力的な女性になるための本を読んでみたり、彼と同じ趣味を嗜もうとしてみたり、美容にも一層気を配ったりもした。
しかし一向に彼との関係は進展も後退もしなかった。決定的な言葉を発しないのも、彼のやさしさだったのかもしれないが、それが私には苦しかった。

それなのに私は関係を絶とうとしなかった。できなかったのである。なぜなら、彼と会う時は自分の心が満たされ、大切な存在であるという思いがより強くなり、離れる強さを出せなかったからである。私の心が満たされることの9割は、彼の言動に起因したものだったのである。

どんな挑戦も失敗も、全てを自分の糧にするために

そんな私はある日、彼を執拗に求めすぎることをやめようと決心した。
自分一人であっても充実した人生を送れるようになってこそ、魅力的で凛とした女性になれると思ったからである。

誰かに自分の人生を彩ってもらおうとする考え方から脱却しようと試みた。自分のために自分を高めることを楽しめる女性になろうと。そうすることで真の知性と優美な人格が形成されていくと思った。
努力する目的を「彼」ではなく「自分」に設定した。そうすれば、どんな挑戦も失敗も、全て自分の糧になる。

まず取り組んだのは、様々なジャンルの本を読むこと、自分の興味のある趣味を片っ端から楽しんでみること、美しくなることを楽しんでみることであった。
様々なジャンルの本を読むことで、知見が新たになったり、感銘を受けて人生の深みが増したりする感覚を知った。たくさんの趣味を楽しむことで、新鮮な気持ちになれたし、生活にハリが出るようになってきた。美しくなるということを目的にするのではなく、美しくなろうとする過程を楽しむことで、嫌な切迫感も苦しみもなくなってきた。

いつの日か、自分で自分を満たし、周囲に還元できるようになれたら

私はまだ、自分で自分を満たす力を養っている最中である。しかしいつの日か、自立して人生を楽しめる女性になりたい。さらには周囲にその幸せや喜びを還元できるようになりたい。そのために、自分から楽しんで努力を重ねていきたい。

その先に、素敵な人とのかかわりがあったら、それは素晴らしく価値のあるものになると確信している。