鍵っ子で一人が嫌だった私。大学生になってひとり行動が好きになった

真っ暗な家に帰り、電気を点ける。
リビングに入り全てのスイッチをオンにする。
テレビのリモコンはすぐに見つかるように、出かける前にテーブルの右端に置いておく。
これは私のルーティン。小学生の頃から変わっていない。
両親は共働きで、小学生の頃から家に帰ると一人だった。
低学年の頃はそれが嫌で仕方が無かった。学校から帰ると、ランドセルを玄関に置いてすぐに友人の家や公園に走って行った。
暗くなり、親が帰ってくる時間に合わせて自分も家に帰る。
典型的な鍵っ子の放課後を送っていた。
大きくなるにつれて、一人の時間は苦痛では無くなり、むしろ貴重は時間であることを知った。何より、自分は一人でいることに向いている。
もちろん友人達と一緒にいる時間は大好きだし、誰かと一緒にいる時間が苦痛な訳では無いけれど、一人でいる方が自分と向き合えるような気がする。
散歩をしたり、絵を描いたり、こうやってパソコンで文字を打ってみたり。
誰にも邪魔されずに自分の時間を楽しめるようになった。
現在23歳。大抵の「ひとり○○」はできるようになった。
ひとりカラオケやひとり旅はもちろん、ひとり焼肉も余裕。
今となっては、ひとりの方が楽だとすら思い始めた。
誰にも制限されない時間。
ひとり行動が好きになったのは、大学生の頃。
持て余すほどの時間と少しの制限。
するもしないも自分次第なのだと知った。
それと同時に気づいたのは「ずっと一人でいることには耐えられない」こと。
本当に面倒臭い人間だなと思う。
ずっと他人と一緒にいては自分を大切にできないし、一人でいては周りを置き去りにしてしまう。
誰かと共有する時間と、自分の意思で決定する時間。
どちらも大切でバランスが大事。
そう思い始めたのは、一年前のある日。
全てを投げ出しそうになる自分に気づいた。
そこから、月に一度、何も予定を入れない日をつくるようにした。
元々、スケジュール帳は埋め尽くしたい派だったが、常に何かに追われているような感覚が窮屈になった。
全部を投げ出してしまう前に、きちんと自分と向き合うべきだと思った。
明日の準備をしなくてもいい夜は何だか心が軽い。
一日を無駄にしないよう、昼前にアラームをセットしておく。
一日中流している曲の音量をいつもより少しだけ大きくする。
どこにも出かける用事はないが、お気に入りの服を着る。
ゆっくりとブランチの用意をする。
何をしようかなと考えながら、部屋の片隅のホコリを掃除していく。
無心で絵を描き続ける日。
お笑い芸人の動画で笑い転げる日。
失敗を思い出して泣き続ける日。
お酒の力に頼ってしまう日。
誰の時間も奪っていないのだから、どんな一日を過ごそうと自分の好きにしたらいい。
自分ときちんと向き合うなかで気づいたのは、実は感情が豊かだということ。
友人達といる時は常に笑っているけれど、思っていたよりも怒りやすく、涙もろく、すぐに冷めてしまう人間だった。
一人で過ごす時間の楽しみは、今まで気づけなかった発見があること。
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