お互い好意はあったようだったが、伝えることはしなかった
あの人には、私に隠していたことがあった。それは彼女が出来たこと。
私は、彼女が出来たことよりも、本人が隠していたことが嫌だった。
あの人が隠していたという事実を、私は知りたくなかった。
あの人Kは、私と同い年。私と同じ学校、同じ委員会。
隣のクラスだったが、よく見かけていたし、すれ違う時はよく挨拶をしていた。
側からみれば、友達同士だったかもしれない。
しかし、Kと私は、ただの友達ではなかった。
お菓子の持ち込みが禁止の学校で、バレンタインデー、ホワイトデーを贈り合った仲だった。
バレンタインが欲しいと言われたので、私はあげた。ホワイトデーにきちんとお返しをいただいた。
お互い好意はあったようだったが、それを伝えることはお互いしなかった。
だから、気持ちは自然消滅を迎えた。
布団に潜り込んだ修学旅行の夜、Kには彼女がいると知った
Kが私に好意を抱いていたことを知ったのは、バレンタインデーから1年半後ほど。
その時は既に、Kには彼女がいた。
Kの友達に「Kが愛していた人」と呼ばれていることを知り、私はKが私に好意を抱いていたことを知る。
両想いだったのか……知った時には遅かったが、それが真実だったようだ。
Kには彼女がいた。
Kに彼女がいると知ったのは、5月か6月頃の修学旅行の時だった。彼女は、私の友達でもあり、クラスメイトだった。
修学旅行の夜は、皆で布団に潜り込み様々な話をする。恋バナは恒例行事のように話す。
そこで、その事実を聞いた。
彼女からではなく、別の友達から。
「〇〇ちゃん、Kと付き合ってるんだって」
「へぇーそうなんだ」
初耳だった。友達から聞いてなければ、Kからも聞いていない。
聞いておく理由は、特にないが、隠されている気分だった。
修学旅行で部屋ごとの班長だった私は、夜になると大広間に集められる。
その時、Kに会った。
「Kさぁ、〇〇ちゃんと付き合ってるんだってね……」
Kは驚いた顔をしながら、
「誰に聞いた?」と言った。
「秘密……」
Kは私には知られたくなかったらしい。
他の友達が知っていることがあった。気付かないフリをずっとしていた
Kが何かを隠していたことは、数ヶ月前から知っていた。
一緒に仕事をしていた時、別の友達が言いかけてしまったのだ。
「K、今つき……」
「マナマナには言うな!」
すぐに反応していた。
「どうしたの?」
そう私が問いかけても、「何でもない」しか返ってこなかった。
明らかに私が知らなくて、他の友達が知っていることがあった。
私は、気付かないフリをずっとしていたのだ。
Kは何故私にずっと何ヶ月も隠そうとしていたのかは、わからない。
私のためか、自分のためか。
もしかしたら、私の好意に気づいていて傷つけないためかもしれない。
本当のことは、K以外にもわからない。
卒業式前、私は「好きでした」と書いた手紙を書いて渡した。Kからは何も反応がなかった。
卒業してから、2人は殆ど連絡を取らなくなった。
友達であった2人は今は恐らく友達とは呼べないだろう。
最近FacebookにKがおすすめで表示される。
もしまた会う機会があったら、あの時のことではなく、その後のKについての話を聞きたい。
隠し事は何もしないでほしい。