私が働いている職場はSDGsを掲げたポスターを社内に貼っているし、「サステナビリティ」という単語を女優やモデルが口にするのも聞く。
私自身は意識して何も特別なことはしていない。
だから自分に書けることはないのではないか。
強いてあげるなら、エコバッグぐらいか。と思って調べ出したら、マイボトルや自転車移動もエコになるらしい。
待機消費電力なんて、今日家に帰ったらすぐにできる。
知ったら文章を書き出すことができた。
無知はこわい。
そう思うと同時にきっと私のように知らないことでできていない、やっていない人がとても多いのではないかと思った。

夜桜を見に行ったけど、その空間にうっとり浸れる静けさはなく…

先日、念願だった目黒川の夜桜を見てきた。
枝いっぱいに咲いた桜の花のきれいさ。
川面に無数に散った花びらが流れていく様の美しさ。
今まではテレビの映像でしか拝んだことのなかったその光景に私は恍惚とした。
でもその空間にはうっとりと浸れるような静けさはない。

「写真撮影をしないでください」
「立ち止まらないでください」
新型コロナウイルスの影響で、蜜を避けるため橋や道路には警備員が何人も立って注意喚起していた。
ベンチがロープでぐるぐる巻きにされて閉鎖されていた。
それでも大勢の花見客が桜に群がり、写真撮影していた。

予想していた嫌な光景は、行動する人たちのおかげで心地よかった

ひとつ私が意外だったことがあった。
目黒川沿いには、香ばしい匂いを充満させる焼き鳥の屋台や美女たちがこぞって持って歩いていた、苺の浮かんだシャンパンなんかを売るお店があった。
警備員たちの意思に反して、桜の美しさに便乗したビジネスに人が集まっていたのだ。
特別、ゴミ箱が設置されている様子はなかったし、私は絶対嫌な光景を目にすることになると思っていた。
けれど、ポイ捨てしている人も落ちているゴミも確認できなかった。
付近では腕章をつけた何人かの若い男性がゴミ拾いをしていた。
そういう人たちのおかげかもしれない。
でもこの事実は予想に反していて、心地よかった。

プラスを起こせないのであれば、マイナスを起こさないことも大事

花を愛でるこころを持ち合わせていることは、豊かだ。
でもその美しさを守っていくためには、愛でるだけではダメなのかもしれない。
毛虫の除去、枝の伐採。
見えないところで美しさを守るために活動している人がその他にだってきっとたくさんいる。
その一方で、きっかけはコロナでも、人がいないことで守られる美しさもあるのかもしれないと考えた。

環境を守れるようなプラスなアクションが起こせないのであれば、せめてマイナスなアクションはしない。
現状の美しさを保つための努力を皆がやるようになれば、大袈裟に響くかもしれないが、少しずつ世界は変わっていくのかもしれない。

選挙に行かない人と同じだ。
「どうせ私が一票投票したところで」
「俺一人がやったって」
そうやって自分がやらないことの言い訳を述べる人が増えれば増えるほど、国だっていいようにならないし、環境は破壊されていく。
マイナスな発言や発想をやめて、ひとりひとりが一度信じてやってみるだけでいいのかもしれない。