最近、会社を辞めた。
1年以上前から辞めたいと思っていたけど、周りの気持ちを優先して決断できなかった。
その後、心のバランスを崩して休職してから、自分の気持ちを大事にしなきゃダメだと感じ、1年越しの決意で退職。
いまはフリーランスライターを目指して、コツコツ修行している。

何もかも「自由」という大海原に出たのに、ど真ん中で浮いている気分

そして、ひとり暮らしも始めた。
三食飯付き、湯船付きでありがたかったけれど、同時に息苦しくもあった実家を飛び出した。
親に頼りきりのぬくぬく生活が、全部自分でやるサバイバル生活(ちょっと大げさ?)になった。
でも、やっと、自由になれた。
やっと、自分で人生を進める感覚を取り戻せた。
そんな清々しい気持ちでいっぱいだ。

ただ、別の言葉で言い換えれば、「安定収入を手放したタイミングで、湯水のごとくお金が出ていくひとり暮らしを始めた」のだ。
それはそれは、不安もいっぱいだ。
……清々しいなんて、実はただの見栄っ張りかもしれない。
ライターとしての道や、これからの生活を切り拓こうともがくけど、なかなか思うように進まない。
何もかもが自由になって、何でもできるはずなのに、何もできていない気分。
せっかく大海原に出られたのに、いつまでもそのど真ん中で、ぷかぷか浮いているような気分。
そもそも進もうとしている方角は合っているのか、遠回りなのではないか、同じところをぐるぐる回っているのではないか。
そんな不安が常に襲ってくる。

大海原を渡るための「航海図」を探したけど、しっくりこない

だから私は、航海図が欲しい。
大雑把なものでいい、何か道しるべになるものが欲しい。
いまの時代に生きる私は、ありがたいことに、インターネットの海にも簡単に出られる。
そこには先人たちが辿った航路が、たくさん記録されている。
フリーランスとして働くライターや編集プロダクションで修行するライター、同世代で既に会社員並みの月収を達成したライターなど、本当にいろんな人の体験談を覗くことができる。
だけど、どれもしっくりこない。
これだけ体験談があれば、ひとつくらい指針にできそうな航海図があるだろうに。
それを辿れば、ある程度正確かつ速く目的地に着けるはずなのに。

それもそのはず。
だって全く私と同じ状況、性格、考え方の人なんていないのだから。
そもそも、「正しい航海図」なんてものが存在すると、思うこと自体が間違いなのかもしれない。
それに本当は、航海図なんて要らないことを、私はよく分かっている。

旅も人生も一緒。思うまま、心の向くまま、ゆっくり進めばいい

時おり、ふと思い立ってひとり旅行に出かけることがよくある。
もちろん、毎回ざっくり下調べはするけど、基本的には当日の自分の気持ちが最優先だ。
行きたかったところまで、ずいぶん遠回りをしてしまったり、むしろたどり着けなかったりすることもある。
予定を詰め込み過ぎて疲れ果て、ホテルに籠りたくなってしまうこともある。

でもたいてい、そういう時は全く想像しなかった別の良い出会いがある。
一本間違えた小路で自分好みの雑貨屋さんを見つけたり、ホテルマンとのお喋りで隠れた名店を教えてもらったり。
そして結局は、とても濃厚で多幸感あふれる最高の旅になる。

だから人生も一緒。
「Life is a Journey」とは本当によく言ったもので、「正しい航海図」はきっと私が進んだあとに出来上がるのだろう。
いまは、思うまま心の向くまま、進めばいい。

風の時代とも言われるいま、大海原へ飛び出したのだから、迷いもがくのは当たり前のこと。
時おり、顔を出す不安とも手を取り合って、ゆっくりゆっくり船を進めればいい。
風向きをなんとなく読みながら、ときに荒波に揉まれながら、とりあえず力いっぱい漕いでいこう。
そしていつか人生を終える頃、納得のいく「私の航海図」ができていれば100点満点じゃないか。