私は29歳無職で、今までもこれからも子供は産まないと決めている。
「可哀想に!」と言われるが、子供を欲しいと正直思ったことがない。というか考える隙がない。
だって私はいつも自分の人生で精一杯だから。

新薬を試せない理由は、妊娠への影響。優しい気遣いがショックだった

大学を中退してから8年近くニートをしていた時、メンタルの病気で身体も壊し、病院通いの日々だった。
そんな時に、
「とある新薬が、あなたの症状に効き目があるかもしれない。でも妊娠した時に影響が出るかもしれないから処方しません」
と言われた。
驚愕。なぜ私は当たり前のように将来、妊娠して出産することになっているの?と思った。
ただ生物学上、たまたま妊娠出産が可能というだけなのに。
しかもその薬の副作用は「妊娠している時に服用したら影響が出るかもしれない」というものだった。
つまりパートナーができて、子作りしたい時に飲むのを中止すれば良いのだ。
「今は独身ですし、そういう相手もいないので飲んでも大丈夫です」と伝えた。
本当に病気を治したかったから。毎日身体が痛くて耐えられなかった。
しかし、「そういうタイミングがいつ来るかわからない年頃ですから、やめておきましょう」と優しく言われた。

気を遣ってくれたんだろうけど、ショックだった。
パートナーもいない。好きな人もいない。恋愛なんかできない、したくないくらい毎日寝たきり。どうやったら病気が治るか必死だったのに。
医者の言う年相応の情事はない。実家の子供部屋で1日寝てるんだぞ。
短絡的な表現になるが、その時思ったことをあえて記す。
「しんどすぎて、セックスなんてする体力も気力もないんですけど?」

推しができて元気になったけど、将来子供を持つことは考えられない

最近はメンタルの病気は治り、体調も良くなった。
ちなみにパートナーが出来たからではない。推しができて応援するために元気になっただけである。オタクになっただけ。
推しのライブに行くお金を稼ぐためにいろんなバイトをしたり、会社に就職してみたり、夜行バスで推しのライブに出向いたり、人生を楽しめるようにまで回復した。
でも、やっぱり、将来子供を持つことは全く考えられない。

今は、会社をクビになってまたニートになって、求職活動も全滅しているから、いっそのことフリーランスとして働こうかと考えている。
「フリーランスなんて大変だよな、でも会社にも全然雇われないし」と、毎日グルグルしてる。
元気になったといえど、8年間の療養生活は正直ハンデを感じることもある。
でも不安で立ち止まると推しのライブに行けなくなるから動くしかない。
短期バイトをしたりハロワに行ったり資格の勉強をしたり、毎日目まぐるしい。

だから子供を持つなんて、そこまで頭が回らないのだ。
これからの自分を作っていかなきゃいけないのに、子供を作るとは何事?
そしてまず、パートナーを作れ!という話だ。

熱心にオタク活動をしている推しへの時間や金銭を全て婚活に回すという手もあるかもしれない。
でも「推しのクローンみたいな人って婚活会場にいますか?」と思う。
おかえりください。
そんなこと言ってる時点でパートナーづくりの本気度ゼロ。一生懸命パートナーを探している方たちに本当に失礼だ。

今の私は年甲斐もなく推しが生きがいなので、それを捨てて婚活、ましてや家庭や子供を作ろうなんて思えない。
どんなライフスタイルになるにしろ、推しというエネルギーを捨ててしまっては人生における様々な困難を乗り越えられる気がしない。

推しへの課金ゴールは「推しの子供の養育費を払うこと」という結論

そんな私の推しも、「いつか誰かとの子供を持つのかなあ」なんて考えてしまう。
事務所が許すかどうかはさておいて、仕事は順調そうだし年収的にも本人のスペック的にもご縁さえあればすぐ出来るだろう。
もちろん本人に結婚願望があればだが。
でも推しが結婚したら、さぞショックを受けるんだろうな。
長い間全力でファンをやってるから、その権利は欲しい。
「私は将来、推しちゃんと結婚するだもん〜!」という狙いで応援しているわけじゃないから、そんなことでは絶対に降りないし、「おめでとう」とメッセージは送るつもりだ。

最近「オタクにとって、推しへの課金のゴールってなに?」とオタク友達との会話の中で話題が出た。
「最終的に推しの子供の養育費を払えたら、オタクとしては一旦はゴールじゃない?」
と、私は結論を出した。「そこまで達観するの?」と驚かれた。

「見えないところで推しちゃんの子供を支えるんだよ〜」
「令和のあしながおじさんかよ」
「推しちゃんの子供に、君が生まれる前からパパとママのことを応援してたんだよおって言えるやん」
「きっしょ!」

自分で手一杯なオタクだけど、少なからず「子ども」を支えられる

きっしょ!その通りです、ありがとうございます。
オタクとはどんなに真剣でもキモチ悪くなるものだ。
もちろん笑い話でその場は大いに盛り上がった。
でも実は半分本気だ。
もしも親になった推しを応援するということは、回り回って養育費を払っていることになるのでは?
きっと調子に乗って「お子さんにどうぞ!」と、ベビー用品をファンレターと一緒に送るかもしれない。
私は自分の人生がうまくいかなくて自分のことで手一杯なオタクだけど、それでも少なからず「子供」というものを支えるということになる。
それはそれで素敵なことではなかろうか。

「きっしょ!」と笑ってくれたオタク友達も、子育て中のママさんだったりする。
私は出産経験も子育て経験もないから何もアドバイスはできないけど、ママさんの子育ての中での大変なことをうんうん、と聞くことはできる。
オタク談義でワイワイすることも、少しは気分転換になっていたらいいなと思う。

出産で大変な方、子育てで大変な方、産みたくてもさまざまな事情で産めない方、そんな方達の何かの力になれたり、近くから遠くから関係なくサポートできる人になれればそれで良くね?

誰かのための小さな小さな幸せは産めるんじゃね?