わたしは今まで何となく、“結婚したい”と思っていた。それはわたしの家族が強く影響を与えているのかもしれない。

わたしの家族は両親ときょうだい4人の6人家族。少子化が進む昨今において、4人きょうだいは珍しく、同級生にそれほどいなかった。しかし、わたしにとってはきょうだいが複数いることが当たり前で、自分の両親がいる事が当たり前で、きょうだいが多いため、同級生と比べて裕福ではない家族で、様々な選択肢を少し我慢することが当たり前だった。

様々な選択肢を少し我慢することに対しては子供ながらに不満・悔しさを感じることはあったが、それでも何気ない話で大笑いし、「まあ、毎日生きるってしんどいけど適当に明日も頑張ろうよ!」なんて、少し励まし合えるくらい家族仲は良好だと思う。

そんな環境下に居たからなのか、「わたしも将来は結婚して、子供は3人くらい欲しいな。結婚するのは30歳手前で、30歳くらいには1人子どもが居たらいいな。」と最近まで何となく思っていた。

助産師になってわかった。「世の中のママは偉大だ」と

しかし、今年から新社会人かつひとり暮らしを始めて、価値観が大きく変化した。

わたしの職業は助産師。近年はドラマなどで取り上げられ始め、認知もされてきている一方でイメージが湧かない方も多いかもしれない。

助産師は英語で「midwife」。語源を辿ると「mid」は「〜と共に、付き添う」、「wife」は「女性」。つまり「女性に寄り添う者」というような意味を表していると言われている。例を挙げるなら妊娠、出産、育児に関わるだけでなく性教育や不妊相談、育児相談等、女性のライフサポートをする仕事であるため、仕事内容に個人差はあるが、考え様によっては幅広い業務に携わる職業であると思う。

わたしの今の仕事内容としては入院している妊婦さんと関わらせていただいたり、出産の介助、母子が自宅に帰った後に育児等ができるようサポートをすることがメインである。具体的な「母子へのサポート」は、赤ちゃんのお世話の仕方、基本的な所でいえば「おむつの替え方」「授乳の仕方」「お風呂の入れ方」などをその赤ちゃんの個性も見ながらお伝えし、自宅へ帰った後、その人が生活の中で取り組めるように授乳のこと、赤ちゃんのお世話のことなどを共に考え、提案する。

助産学生から感じてはいたが、この仕事を始めてより強く思った。
「子供を育てるって並大抵ではない」と。

妊娠も出産も命懸け。でもそこがゴールではなくスタート。自分の子供を育てるということは、とんでもない労力がかかる。

しかも、思い通りに行かないことだらけ。さらに家族にとって養う命が増えるということであり、支出としての費用は増え、子供ありきで生活は動いていく。

だが、自分やパートナーの生活は今まで通り進んでいく…。
働いていて強く思う、「世の中のママは偉大」だと。

独身かママか、職場の女性がロールモデルになっている

わたしは今、社会人になってひとり暮らしをして、「自分の生活を何となしに保つ」こと自体、ハードワークだと感じている。家事も誰もやってくれるわけではないし、日々の家計管理もしないといけない。

逆を言えば、誰にも拘束されないため、自由気まま。何をしてもしなくても誰にも言われないし、給料の使用方法も可能性は無限大。良くも悪くも選択権は自分にある。「生活を保つこと」に大変さを覚えつつも、自由に使える時間とお金を手にしたばかりなのか、今の生活に充実を得始めている。

また、職場は女性が大多数を占めているため、独身の女性、すでにママさんの女性、様々なロールモデルがいる。

ある独身の先輩は自分の趣味がたくさんあって、仕事にも助産師としての自分なりの考えや価値観を持ちながら仕事をして、1人であるからこそできることを楽しんでいるように感じる。

一方でママさんは助産師としての考えや価値観に加え、“子育て”の経験を生かしながらアドバイスをされており、時短勤務の中でも時間の工夫をたくさんされて、帰っていく…。もし時短勤務だったら、あの時間内にとても仕事は終わらないといつも尊敬している。

結婚は「将来はわたしも」という憧れから、選択肢の一つになった

今の自由さと結婚・子育てを客観的に見たり、様々なロールモデルの方に触れたりすることで、「今の自分に家庭を持つこと、それに伴う責任を背負うこと」「家庭があっても自分の生活を何となしに保つこと」が今のわたしにできるのか、と問われると、とてもそうは思えない。

何となく思っていた“1人から2人以上に変わる家庭の変化”への憧れは、選択肢の一つとなった。助産師という仕事をしているが故、女性は“妊娠・出産”の選択肢を考えると、妊孕力・体力的な面から子供を持つことへのタイムリミットがある程度限られてきてしまうことも理解している。

しかしそのことは一旦置いておいて、今は自由気ままな生活を自分なりに楽しみたいし、向いていると思う今の仕事にできる限りエネルギーを注ぎ込みたいと思う。