社交的で責任感がある彼女が、誰も信じないわたしと友達になった

祖母から言葉の暴力を受け続けるわたしは、自分は価値の無い、何も出来ない人間だと思い込んで、誰一人信じられなかった。
わたしは荒れた学区から離れてひとり、隣の学区の中学に入学した。
最高学年になると、友達の友達、顔は知っているけど、それほど知らない関係の彼女と同じクラスになった。
なぜか明らかに、彼女に好かれている。
今まで出会ってきた人とは違う、怖いと感じた。

彼女は、学級委員を務めるほど責任感があって、長い付き合いの友達もいて、社交的な人だった。
自分とあまりにかけ離れた存在で、羨ましくて、全然好きになれなかった。
なんなら少し避けたりもしていた。
彼女はわたしの行動に気づいていたが、あまり気にしていないようだった。
一緒にいると、自分でいることを許されている心地良さを常に感じていた。
わたしはそんな彼女と一緒にいるうちに背中を追いかけ、人として惹かれていった。
月日が流れ、家を行き来するようなわたしの一番の親友になった。

進学して離れ、会わなくなった彼女。でも私を理解してくれる親友だ

彼女のおかげで、充実した1年を過ごして卒業を迎え、彼女とは別の高校に入学した。

「学級委員になりたいんだけど、どうしたらいいかな」とか、人との付き合い方の相談を度々した。一番の相談相手で、どんなにくだらないことでも、決して否定しない彼女の言葉が心地良かった。わたしが不安を感じたとき、彼女が一番の味方だった。
わたしの誕生日には毎年会って、いつも手紙を書いてくれた。
自分を理解してくれる人を探すようになって、3年同じ場所に通っても、彼女の面影を感じる人は見つからなかった。

大学に入学し、わたしが部活に入って忙しくなると、会う機会が減った。
部活を選んだわたしと、サークルを選んだ彼女。
お互いに大切にしたいものが一致しなくても、理解してくれる親友がいることがわたしの自慢だった。

いまは、彼女がそばにいなくても、頻繁に連絡をしなくても、大丈夫。
わたしがどんな選択をしたとしても、必ずわたしの味方でいてくれるから。
高校生の頃、彼女が出てくる夢を見た。あの夢は彼女と頻繁には会えない、当時の生きる支えだった。
わたしと出会ってくれて本当にありがとう。わたしの何かを好いてくれてありがとう。
わたしに与え続けてくれた、あの青春を送ることはもう、きっとないよ。

ありのままのわたしを受け入れてくれる人は、きっといる

わたしは変わった。警戒心が強く、どう思われるのか不安で仕方なかった自分が、秘密を打ち明けられるほど長い年月が経った。
初めて人に惹かれたことや家族のこと、どうしようもない愚痴も。
学生の頃は、口酸っぱく吐いていた言葉や、自分を好いてくれるひとを否定するマイナスな言葉も、とっくに使わなくなった。
彼女と出会ったばかりのわたしより、自分自身を愛せるようになった。

わたしは今年、大学を卒業した。ありのままのわたしを受け入れてくれる人は、きっといる。
自分の居場所に根を張って、自分で探そうと思う。
偶然会った大学の友達と連絡した翌日に会う、なんてこともできるようになったよ。

してくれたことをしてあげられるように。
あなたからもらった愛を、わたしは誰かに渡せるようになりたいと思う。