ミニマリストの私が、身につけておきたいと思うもの
最近、ミニマリストや断捨離、ていねいな暮らし、といった言葉が流行っている。「ものが少ない生活」は素晴らしいものとして認知されており、SDGsを意識した商品やサービスも急増している。
元来ものだけではなく人付き合いもソーシャルメディアも、定期的にリセットを繰り返している私にはお茶の子さいさい、朝飯前といったところの、ていねいなくらしなのだが、捨てるわけにいかないもの、身につけておきたいものがある。
めちゃくちゃありきたりだが、それは恋人から貰った唯一のプレゼントのブレスレッドだ。
シンプルなシルバーのデザインで、可愛いものが苦手な私を考慮してくれたんだな、と感じる。
彼は私より五歳下の高校生だから、もらった時は嬉しい気持ち以上に、様々な疑問が浮かんだ。どこでいつ買ってくれたんだろうとか、金額はいくらしたんだろうかとか、貯金を切り崩してくれたのかなとか、色々気になることがあったのだが、詮索するのは彼に失礼だな、と思い、ありがたくもらって毎日身につけている。
ブレスレットは彼の分身。勇気が必要な場面で力を貸してくれる
世界中の恋人同士が、「自分達の関係を特別だ」と思っていると思うが、私もその一人である。実際、お互い国籍は違うし、住んでいる国も違う、一方が高校生でもう一方が大学生の、私たちのような恋人はそうそういないと思う。
一緒に過ごしたのは四ヶ月程度でその短い期間で恋愛をした。遠距離になってから、そろそろ一年くらいが経過するが、電話をしたりメールをすることで恋人という立場を保ち続けている。
現実世界で彼に会ってデートができない私にとって、彼からもらったブレスレットは彼の分身のようなものだ。腕に身につけておくことで一緒に出かけているような気持ちになれるし、勇気が必要な場面でも私に力を貸してくれるような気がしている。
プレゼントには、受け取った人の思考を支配する力がある
ところで、プレゼントは人が日頃の感謝の気持ちを伝えたり、お祝いをしたりするために用いられることが多いと思う。しかし、私はプレゼント選びをする時に、「どんな時間に、プレゼントする相手に自分を思い浮かべてもらいたいか」ということを考えるのが良いと思っている。
例えば、私の恋人はブレスレットをくれたが、これを身につける私は手元を見るたびに彼を思い出している。つまり、一日のほとんどの時間、私は彼を思い浮かべながら生活を送っている。
こう書くと変態のようなので、他の例も挙げておこう。例えば、ペン。ペンをプレゼントとしてもらった人は、勉強や仕事をする時、あなたのことを考えながら使うだろう。
このようにプレゼントには、感謝の気持ちを表す以上に、渡した相手の思考を支配する効力がある、と私は思っている。
話はだいぶそれだが、私は、人の想いがこもっているものというのはどんな人も容易に捨てることができない、と考えている。
「ていねいなくらし」が日本社会に旋風を巻き起こそうとそれだけは変わらないと私は思っている。みんなも、ミニマリズム社会に抗うべく、想いを込めたプレゼントを渡していこう。