「週末まで返事待ってもらってもいい?」
好意を伝えて相手から返ってきた言葉だった。仕事で海外赴任になるかもしれず、それを含めて返事をしたいとのことだった。
週末って土曜?日曜?Googleで定義を調べて、3通りくらいその意味があると知って、いつのことだろうと悩んだ。
週末1日目である金曜日の夜、私は眠ることができなかった。

告白の返事待ちの時間は合格発表みたい。彼の言葉で悟った結果

告白の返事待ちの期間は、合格発表の時のドキドキ感に似ていた。大体の通知が来る期間は知らされていて、封筒の厚みを確かめてその合否を悟る。
土曜日の夜、「今日、電話できる?」と言われて、なんとなくその結果を悟った。おそらく私は振られるのだろうと。

彼との出会いはマッチングアプリだった。アウトドア系の趣味を持ちたいと思っていた私が、そんな趣味を持っていた彼にいいねをし、そこからやりとりがスタートした。
2回くらい電話をしたが、気づいたら2時間くらい時間が経っていた。背伸びしないでいられる、そんな感じがした。

彼は電話の中で「そのうち会おう」としか言ってくれなくて、「それって会わないやつじゃないですか(笑)」となんか言ったら、コロナの感染を気にしている様子だった。
「それなら散歩とかどうですか?」と提案をして、ようやく会う約束を取り付けられた。

散歩をした後に食事をすることになった。年上だけどおどおどしたお兄ちゃんみたいな感じで、なんだか親しみやすかった。思ったより早めの解散になりそうで、「この後どうしますか?」と聞いたら、流れで私の家に来ることになった。

身体の関係だと理解していたけど、どんどん彼のことを好きになった

玄関ではきっちりと靴を揃えて、ドアを閉めるときも丁寧で、ラグに座る時は正座をしていた。堅すぎるようにも感じたが、そんなことをされたのは初めてだったから、とっても新鮮だった。
その後は「36の質問」をやってみた。人生で1番感謝していることは、という問いに対して、不自由なく両親に育ててもらったこと、と即答した。
それは模範解答なのかもしれないが、身近な人に感謝できる姿に、良い育ち方をした人なんだな、と人間的な魅力を感じた。

初めて彼の家に行った際、綺麗にしてるね、と言ったら一生懸命掃除したと言った。日頃から綺麗にしていなかったとしても、そうやって迎えてくれることがとても嬉しかった。
VRゲームをやった時も、やり方が全然わからない私のためにゴーグルをつけながら設定をしてくれて、その姿が面白くて、それでいて嬉しくて。幸せを噛み締めていた時間だった。

その人とは体の関係だった。お互いそれを理解していたけど、知らず知らずにどんどん好きになって、私が耐えられなくなった。
大人になってから1番好きになった人かもしれない。だからこそ、これ以上後戻りできなくなる前に関係性をはっきりとさせたかった。直接伝えて、相手の困った顔をみてしまったらもう立ち直れなさそうだったから、LINEで伝えることにしたのだ。

誠実な彼の言葉。どんな結果であれ、受け入れることができた

そうして、電話で週末に返事をもらった。6分ほどの短い通話だった。
海外に赴任になった場合、関係を続けるのは無理だと思っていると言われた。かといって、行かないことになったから付き合うというのも私の時間を奪うことになると。

私との未来は、この人にとっては付き合うところまでなんだな、というのがよくわかった。
でも短い通話の中でも、たくさん考えてくれたということが伝わったから、すんなりと受け入れることができた。最後まで誠実な人だった。

前向きに進めそうとその瞬間は思っても、私の心はダメージを受けていたらしく、その日は眠れたようで寝れなかった。でも割とすぐに、「自分との未来を思い描いてくれる人と関係を築いていく方が幸せなんじゃないか」と悟った。
愛される方が幸せ、ってそういうことなのかな。