辛い日々を乗り越えられたのは、出会ったロックバンドのおかげ
私がずっと捨てられないものは、この世で一番大切で、大好きな人の存在です。
私は小学生まで順風満帆に伸び伸び育ったのですが、中学受験で環境が変わり、学校でいじめを受けたのを機に人生が180度変わってしまいました。
いつもクラスのみんなとふざけたり、笑っていた自分はどこにもいなくて、いじめっ子の顔色をうかがいながら、一人でポツンといるような学校生活を送っていました。
先生にも親にもいじめられていることを打ち明けられずにいた私は、毎日の苦しみを一人で抱え込んでいました。
そんな時、たまたま出会ったロックバンドがあり、私はそのバンドにのめりこんでいきました。
通学中、休み時間、下校中など、あと少し我慢したらあのバンドの音楽が聴ける……そう自分を奮い立たせて、なんとか毎日学校に行っていました。
家では自分の部屋にこもり、専門誌を読んだり、動画サイトで動画を見たりしていました。
そうやってそのバンドを生きがいにしてきた私は、いつしかそのバンドに依存するようになりました。
中学を卒業して、一貫校から出たあとも、何か辛いことがあるたびに、
「彼らがずっと私の傍にいるから。彼らしか私の味方はいない。彼らにしか心を開きたくない」
そう思うようになりました。
大学生になっても、社会人になってもその気持ちは消えずに、自分の殻に閉じこもってしまう日々でした。
先輩に振り向いてもらうには、「自立した女性」にならないと
そんなある日、職場で出会った一人の先輩に恋をしました。
その時私は24歳でしたが、ろくに恋愛経験もなく、自分の気持ちをどうしたらいいのかも分からず、ただ先輩を遠くから見ていることしかできませんでした。
それから私は職場を辞め、先輩とは疎遠になっていたのですが、連絡先だけは知っていました。
そして思い切って「元気ですか?」と連絡をし、二人で食事をすることになりました。
でも別にそこから特別親しくなるわけでもなく、また連絡が途絶えてしまいました。
そんな中、私が県外に引っ越すことになり、もう一生会えないかもしれないと思った私は先輩に告白することにしました。
出会ってからもう4年が経っていました。
先輩に「好きです。付き合ってください」と伝えました。
返事は「次に付き合う人は、結婚を考えられる人じゃないと付き合えないから、今決められない」でした。
私は先輩のことが大好きで、とにかく振り向いてほしくて、どういう女性になれば結婚を考えてもらえるだろうと、毎日考えました。
恋愛の本を読んだり、インターネットで調べたり、たくさん情報収集をして、出た答えが『自立した女性になる』ということでした。
でも『自立』と聞いて、具体的にどうしたらいいのかが分かりませんでした。
彼らが私の中で「一番」であれば、先輩は振り向いてくれない
先輩は平日は働きながら、週末はバンド活動をしている人でした。
先輩を好きになったときは先輩がバンド活動をしていることを知らなかったので、私は先輩に何の気も使わずにヴィジュアル系ロックバンドの追っかけをしていることやライブの話、楽しかったことなどを話していました。
その時、先輩が心なしか冷めた目で私を見ているように思えました。
私はその時のことを思い出し、
「私の中で一番大切な人が彼らじゃなくならない限り、先輩は私には振り向いてくれないのかもしれない」と思いました。
私が辛いとき、嬉しいとき、一番に初めに思い浮かぶ人が他にいることを先輩は察していたのかもしれません。
私がこれから誰かと恋をしたり、愛されるためには、まず心の中にある彼らから卒業して、『自立』しないといけないんだなと気づきました。
もう手遅れかもしれないけど、私は先輩に「先輩が一番です」と伝えたいです。