ピンクは、私を私らしくしてくれた色だ。
初めてピンクのワイシャツを着たとき、すごく気分が上がったのを覚えている。

私は小さい頃はボーイッシュで、ピンクよりも青を好む女の子だった。周りがピンクのキャラクターもののグッズを揃える中で、私の身につけるものは総じて青などの寒色が多かった。
高校生になり、ファッションやメイクを覚え始めた。不思議なことに、雑誌で可愛いなと思う服やアイシャドウはピンクが使われた愛らしいものが多く、似合うはずがないと思っていた私はなかなか手を出しづらく、見ているだけでいいと思っていた。

ドキドキしながらピンクと出会ったのに、いつしか別れが

でも、どうしてもピンクに惹かれる。ピンクの第一歩は制服のワイシャツだった。
私の高校は制服が自由だったので、いわゆるなんちゃって制服派が多く、ブレザーの下にカラーのワイシャツを着るのが常だった。
ずっと寒色系の服を身に付けていた私にとってはかなりのイメージチェンジだったので、周りにどう見られるか不安だったが、中学の知り合いはほとんどいないという状況が私を後押ししてくれた。制服くらいなら、ぶりっ子と思われないだろう、という思いもあった。

ドキドキしながらピンクのワイシャツを買った。いつものネイビーのネクタイにピンクをあわせただけで、可愛い女の子になったような気がした。
周りの反応もよく、それから私は進んでピンクやオレンジなど、暖色や今までにチャレンジしてこなかったビタミンカラーも身に付けるようになった。ピンクを受け入れたことで、カラーバリエーションが一気に増えた。

ただ、社会人になると、落ち着いた色を好むようになっていた。
なんとなく、ピンクは子どもっぽいとか、バカっぽいというイメージがあって、小物でさえ身につけることはなくなってしまった。

ピンクとの再会。今では私をポジティブにしてくれる大切な色

ピンクと再会したのは、結婚前提に付き合っていた彼氏に振られた直後のことだ。
彼氏からもらった財布をすぐに変えたくて、私はネットで見つけた財布を求めアウトレットに向かった。
お目当ての財布を見つけたのに、残念ながら希望していたベージュの色がなく、唯一残っていたのがビビッドのピンクだった。

学生以来、ピンクを選んでこなかった私だったので、どうしようか非常に悩んだ。ただ、なぜだろう、ネットで見つけて心から欲しいと思ったベージュのものよりも、目の前にあるピンクのものの方が心躍る。
初めてピンクのワイシャツを着たときのような高揚に包まれ、ピンクを再び迎え入れた。そこからまた、私の日常に色が戻ってきた。

もう数ヶ月で三十になる私だが、ピンクがトレンドということもあり、最近はインナーカラーにはピンクを入れている。
高校生のとき、可愛いからという思いでピンクを選んでいたが、いまは私をポジティブに導いてくれる色だから選んでいる。

そんな、私の愛すべき色のピンクが女の子らしい、というイメージがなくなり、男性でも身につけることが不自然ではなくなってきつつあるのがすごく嬉しい。
パーソナルカラー診断も参考にすべきとは思うが、自分が好きな色を着ることが一番ハッピーな人生になるはずだ。