「プライドが高い」ということは短所だろうか。
否、わたしはそうは思わない。
なぜなら、プライドとは、自分がゆずれないもののことだと思っているから。
自分がゆずれないもの、大切なものを守るために、プライドを振りかざして人は戦うのだと思っている。
反対に、見栄や体裁のために、プライドを高く積み上げたり、鋭利に振りかざすのは違うと思う。
これは、わたしが大切な人を守るためにプライドをぶんぶん振りかざして戦った話。

自称恋愛マスターは、質問に答える前に「どうせ」という言い方をした

ある人に、今現在お付き合いしている彼のことをよく相談していた時期があった。
その人は、自称恋愛マスターであり、面白い考えをする人だったので、いろいろな話をした。
その日も例にもれず、雑多な話題を交わしていた。
その中で「好きって、どういうことだと思いますか」と尋ねただけだった。
だから、彼のことを特定して話をしたかったわけではなかった。
ただ単に、「好きとはどういうことか」をその人の定義や、その人が紡ぐ言葉として聞きたかった。
それなのに、その人は、質問に答える以前に、
「どうせ彼氏くんのことなんでしょ?」
という言い方をしてきた。

恋愛相談とは、相談している側にとって都合の良いように語られるものである。
カップルの片方からしか話を聞いていないのだとしたら、なおさら。
だから、わたしの主観ばかりで彼についてあれこれと話していたことも今回の件の原因のひとつだろう。
でも、その前提込みで考えても、その言い方はひどい、とわたしは思った。

どうせ?
わたしは誰のことも特定していない。
彼のことを好きかどうか悩んでいる、なんてことも言っていない。
むしろ、彼のことを好きかどうかなんて悩んだことなど、一度たりともない。

わたしの、そして愛する人の何が分かっているのだろう。心底腹が立つ

LINEという文面でのやりとりだったのも相まって、その人が彼のことを悪く言ったように聞こえたのだ。
何故、「どうせ」なんて言い方ができるのか。
ちょっと恋愛相談されたくらいで、ちょっと彼の非を説明されたくらいで、わたしの愛する人の何が分かったというのだろう。
そして、わたしの何を分かった気でいるのだろう。

心底腹が立った。
「誰かのことを特定したわけではなかった」
「単にあなたの考えが聞きたかった」
「それに、彼氏のことで悩んでいるということではない」
「大切な人のことをそんな言い方されて悲しい、嫌な気持ちになった」
こんなことを伝えたと思う。
最終的には、
「あなたの言葉でわたしは傷ついたのだ」
と断言もしたと思う。

大切な人のことを傷つけられて、わたし自身も傷ついたから、謝ってくれたら気持ちが楽になったと思う。
でもそれだけではなくて、その人のこともわたしは大切に思っていたから、わたしが思ったことを真っ直ぐに伝えたし、謝ってほしかった。
それでもその人は、わたしに対して謝ることはなかった。
それどころか、「セナはプライドが高いところが短所だよね」と言ってきたのだ。

わたしの考えとして「プライドが高い」は短所ではない

そもそもわたしの考えとして、「プライドが高い」というのは短所ではない。
プライドは、自分がゆずれないないもの、守りたいもののために高く、鋭くするのだから。
その時は彼と付き合って2年ほど経っていたと思うが、わたしはそれだけの時間、彼と過ごしてきたのだ。
その長さや密度に敵うものなど、他に何もあるはずがなかった。
それを、彼のこともわたしのことも何も知らないくせに、「どうせ」という言葉で片付けて、傷つけて。

何様のつもり?

結構変わった人だったし、理解できないこともたくさんあったけれど、それがその人の面白さであり個性だと思って愛を持って接してきたけれど。
これだけは許せなかった。
それほど腹が立っていたのだと思う。
「プライドが高いところが短所だ」と言われて、なんと返したか全く覚えていない。

それに、わたしがどんな返事をしたとしても、どうせその人には響かないと思うし、これからもわたしじゃない誰かと同じようなことがあったとして、どうせその誰かのことを「プライドが高い」と済ましてしまうのだろう。

大切な人たちを守るため、私は「高いプライド」を振りかざす

もしかしたら、「プライドが高い」と批判されたときに、笑って流すとか、適当にやりすごすとか、うまくやるのが大人の対応なのかもしれない。
それでも、わたしの「高いプライド」は大切な人たちを守るために存在していて、わたしはそのためにプライドを振りかざすから。

謝罪の言葉はなかったけれど。
わたしがわたしの信念に従って立ち向かって戦ったことは、他の誰でもないわたしが知っているから。

ゆずれなかったこと。
意地でもゆずらなかったわたしを、わたしは誇りに思いたい。
最後に一つ、プライドを高く掲げることは、紛れもなくわたしの長所である。