「子供を育てて一人前」と母。一生一人前になれないかも

私だって不自由がなければ、リスクがなければほしいよ……子ども。
そんなふうに思う女性は少なくないと思う。
男性はいい。妊娠しないから体調が悪くなることもないし、命のリスクに犯されることもない。仕事も休んだり辞めたりすることもないし、今までと変わらぬ生活を送れる。

でも、女性は違う。妊娠することによって、健康により一層気をつけなければならない。食べるものに気をつけないといけない。つわりで大好きな食事ものどを通らなくなるかもしれない。今まで続けてきた仕事もできなくなってしまうかもしれない。仕事に穴を空けてしまうことで、職場からいいふうに思われないかもしれない。長期間入院することになるかもしれない。こうやって書き続けているエッセイだって、書けなくなってしまうかもしれない。
やりたかったことやできたこと、やれるはずだったことがどんどんできなくなる。そんなの嫌だ。

でも、出産をしない選択肢をすると、世の中は冷たい目で見る。
「子どもを育ててから一人前になる」。それが母の口癖だった。
だから、子どもを産んだことのない私は、まだ一人前ではない。このまま産むことがなかったら、一生一人前になれないことになる。

大人になった私の子どもに対する感情は、希望を上回る不安

子どもがほしくないわけではない。保育士資格を独学でとって、幼稚園や小学校の免許を取得し、子どものことを知りたいとしっかり学んできた経験がある。その経験を生かせるなら生かしたいと思っている。
けれど、躊躇してしまう。今までの生活ができなくなる不安。仕事でたくさんの子どもを見てきたからこそ、健康で生まれてきてくれるかの不安ものしかかる。そんな不安に押しつぶされそうになる。
そして、こんな気持ちで子どもを作ったら子どもがかわいそうだと思う。子どもを愛したいのに愛しきれないんじゃないかと、自分の感情に恐ろしくなってしまう。

「あなたを産んだから、私は正規になれなかった」
「本当は男の子がよかった」
「あなたが病気で生まれてきたから3人目を諦めた」
子どもの頃に母に言われた言葉だ。きっとそんなことを私に言ったことを覚えてない。意味がわからないだろうと、突発的に言った言葉だとは思う。
でも、私はその言葉を忘れずに覚えている。幼いながらも、私のせいでお母さんの人生の一部を奪ってしまったと感じた。辛かった。悲しかった。苦しかった。私がいなければよかったとさえ思ったこともあった。
そして年齢的には大人になった私の子どもに対する感情は、希望を上回る不安。

いつか心の底から「子どもがほしい」と思えるようになりたい

無償の愛って本当に存在するのだろうか。子どもが生まれたら、本当に心から愛せるのだろうか。出産する時に子どもも私も無事でいられるのだろうか。
子どもに、お母さんがアレルギーだから私もアレルギーになったの?お母さんが心臓の病気だったから、私も心臓の病気になっちゃったの?なんて言われないだろうか。
そんなふうに言われたら私はなんて言う?ごめんねって言うの?私だってアレルギーで生まれたかったわけでも心臓病で生まれたかったわけでもないよって言うの?
わからない。
やりたいことがあるからって、出産については考えることから逃げてきた。でも本当は、ものすごく怖いんだ。強がっているけど、いろんな気持ちが混ざり合ってもがいている。

いつか、心の底から子どもがほしいって思えるようになりたい。いつか、お金や仕事を抜きにして、子どもに尽くしたいって思える自分になりたい。
私は好きなことも諦めずにやっていくし、子どもに愛情もいっぱい注ぐ。家族みんなで辛いことも乗り越えられるように支え合っていける家庭を作り上げる。私も子どもも、家族みんなが笑顔いっぱいで幸せな日々を送る。
そんな未来を想像できて、私が自信を持って結婚、出産に踏み切ろうと思えた時、それが私にとっての一人前になることなのかもしれない。