出産について思うこと?
あるはずがない。だって、私には縁遠いテーマだから。
大好きなパートナーもいるし、生理も毎月訪れる。ただ一点、私を阻むのは「私にはお金がない」という現実だ。

子供が20歳で成人するまでにかかるお金は、3000万円と算出されているらしい。その10分の1も貯金ができていない。
都内OL、ひとり暮らしの私は、日々かさむ家賃や食費や日用品費に給与のほとんどを削られている。実家に頼れずに自活している女子のお財布事情なんてそんなもんだろう。
健康保険から支給される「出産育児一時金」の42万円で、出産費用は「足りない」という調査結果も出た。

出産はお金で悩んでいない人に与えられた選択肢だと思う

今日の夕飯はもやしと豆腐をくつくつ煮込んだ鍋でやり過ごしている私が、どうやって出産費用を捻出できると言うのか。一人を養える力を持たない者が、出産を考えるなんておこがましいと思う。
だから産まない。避妊もしっかりする。

私の周りで出産をリアルに考えている友達は、A子くらいだ。
彼女は合コンで商社マンと付き合っていて、本人もコンサルに勤めている。二人が結婚したらパワーカップルになるに違いない。
彼女なら、まるで高級ホテルに滞在している気分で出産ができる産婦人科を選び、子供が生まれてからも海外産のベビーカーを押して高級住宅街を闊歩するのだろう。

インスタを見ると、エステに行っている子、脱毛を完了した子、フェスに行っている子、旅行に行っている子……自分とは違うキラキラした世界を覗き見ることができる。
彼女たちは一瞬も悩まずに、ウーバーイーツを頼む。盛大な結婚式やダイヤモンドの婚約指輪など、雑誌に載っている世界を再現するかのように、ライフイベントをこなす。
彼女たちはなにも疑わず、電卓を叩いて頭を悩ませることもなさそうだ。こうしたことができる人のみ選択肢として与えられているのが、「出産」なんだと思う。

子供を女ひとりで育てられるくらい強くなることが目標だ

私はひとつもやっていないのに、お金がない。電気料金の請求書が届いたとき、昨年の2倍にもなった数字を見て、発狂しそうになった。
インフラの値上げは痛い。野菜も値上げ、油も値上げしている。それなのに給料が上がらない。500円のランチを買うのも悩む。ブランドのバッグを一つも持っていない。

さあ問題です。子育てでかかるお金で、ブランドのバッグを何個買えるでしょうか?

こういうことを言っていると、「パートナーの給料に頼ればいいんじゃないの?」と思われるかもしれない。そうすると、万が一パートナーと別れたくなった時に「経済的に自立できないから離婚できない夫婦」になることが予想できる。

だから、今の目標は子供を女ひとりで育てられるくらい強くなることだ。だけど、今の私はそうはできないだろう。
いつ転職をするかわからない。精神的に弱い部分があるから、いつ体調を崩して働けなくなってしまうかわからない。

子供は産まなくてもいいと思ったら、ちょっと気楽になった

新卒で就職してから、この社会はおじさん社会なんだなと改めてわかった。たくさん心が挫けそうになった。
あとこれから何回そういう壁にぶち当たって、強く生きていかないといけないんだろう?その上で子育てをするなんて、とても恐ろしくてできそうにない。

もう、子供は産まなくっていいか、と思っている。
そう思ったらちょっと気楽になった。もういいや、と。
私一人が生きていくお金を稼いで、一日をやり過ごせていけばいいや。
時々スタバを飲んで、気持ちをやり過ごせばいいや。
こんな世の中に、生まれて何十年も生きていく我が子、ちょっとかわいそうだもん。