人混みと騒音が苦手で避けてきたライブに行く決断をした
私は生まれてからの20数年間、ライブというものに行ったことがなかった。機会がなかったのではなく、人混みと騒音が苦手で行けなかったのだ。
でも、なんとなく行ってみたくはあった。よく言われる「ライブの一体感」ってどんな感じなんだろう、と興味は持っていたのだ。
そこで先日、運試しくらいの気持ちで、某アイドルグループのコンサートチケットに応募してみた。知名度が高い人気グループで、チケット倍率も非常に高い。なので、本当に宝くじを買うような心持ちでいた。まあ当たらないだろうと思いつつ、1人席分の抽選ボタンを押した。
すると、なんとチケットが当選したのだ。私は思わず「えっ!」と大きな声を出してしまった。まさか当たると思わなかったのだ。誰もが知る人気アイドルなので、抽選倍率もものすごく高いはずだった。この瞬間だけは、神様ありがとうと思った。
しかし、嬉しさもつかの間、ずっとライブを避けて生きてきたので、いろいろな心配や不安が押し寄せてきた。もちろんそのアイドルは好きなので、行きたい思いはあった。
でも当たったのは1人席だ。それに初めてのライブ。いろんな思いが頭を駆け巡った。
ネットで同伴者を探すか?いや、1人参加なんてたくさんいるはず。
それより騒音はどうする?人だってすごくたくさんいるはず。途中で気分が悪くなったら?
ライブグッズも何もないのに、どんな格好で行けばいいんだろう?いやいや、ライブは楽しむのが一番か……。
そんなこんなで結局、コンサートの1週間前まで、チケットを定価トレードに出すか迷い続けた。私よりもずっと行きたかったであろう人たちに、譲ったほうがいいんじゃないかと思った。
それでも、やっぱり行くと決めたのは、家族や友人の後押しがあったからだ。「せっかく当たったんだから楽しんでおいでよ」、「行ってみたら楽しいよ」と言われ、少しずつその気になった。何よりもコンサートを控えたアイドルたちが、「会えるのを楽しみにしています」と言っているのを画面越しに見て、これは行かなければと思ったのだ。私にとっては、結構大きな決断だったと思う。
余韻に浸る帰り道。「ライブっていいな」と感じている自分がいた
実際行ってみると、早い時間に動いたためか、人混みはそうでもなかった。それに席は通路側で出やすかったし、隣の人も1人で来ていた。暇な時間は、その人とアイドルの話題で盛り上がった。私から見ると親世代の人だったが、この時ばかりは年齢などどうでもよく、初めてファン同士の交流というものを感じた。
実際にライブが始まると、大きな光と音の演出に始めはびっくりしたが、それ以上にアイドルを生で見れた喜びや、会場内に光るペンライトの綺麗さに圧倒された。
肉眼でもギリギリアイドルを確認できる位置だったので、曲の途中でついペンライトを振るのをやめて、真剣に見入ってしまったりもした。
服装はとりあえず普段着で行ったが、周りの人も案外、そこまで気合いの入った服装ではなかった。というよりも人それぞれで、必ずしもTシャツやグッズを身に着ける必要はないんだと分かった。自分なりに楽しめればよいのだ。
余韻に浸る帰り道、「ライブっていいな」と思った自分がいた。会場の一体感も、確かに肌で感じられた。何よりも、あの非日常感がいい。
この経験で、私のライブへの苦手意識は薄まった。今後もいろんなことに挑戦していきたい。