自由でいたかったから、非正規雇用の仕事を選んだ

26歳。大卒の人だったら私は就職4年目の年になる。転職を視野に入れる人もいたり、昇任に向けて意欲的にその企業で頑張る人もいるだろう。周りの同年代の人は正社員で就職している。
しかし、私は違う。未婚のシングルマザーでかつ派遣スタッフの掛け持ち。そして実家暮らし。
子供がこの春から小学生になった。入学してからまだ日が浅いので心配事はあるが、子育ては落ち着いてきたほうだろう。

非正規雇用の非常勤で私の収入はとても低い。有給しか保障がなく、一日の欠勤でも命取りな不安定な道。親からも正社員就職をやいやいと言われる日々。それでも私はこの働き方をゆずらなかった。
なぜなら私は自由でいたかったからだ。

親に干渉された学生時代。もう期待に縛られたくない

私の母親はとても過保護で過干渉だ。昔から自由はあってないようなものだった。そして学校という親と離れた場所でも自由はなかった。
学生時代はカリキュラムに縛られ、休んだり逃げたりしても三者面談だったり、保護者の呼び出しで親にバレてしまう。学校は親の目はないけれども親にも縛られているようだった。

先生たちは好きだった。仲良くしてくれる先生は特に大好きだった。しかし担任の先生は好きではなかった。親の回し者にしか見えなくなったからだ。監視をされているような気分だ。
母は私に期待した。そして先生たちも私に期待をした。そして私は進路に妥協するようになった。

大人になっても会社に縛られ、親の期待に縛られるのは御免だ。学生時代出来なかった自由を貫く為、この働き方を選んだ。

正社員なら更新に怯えることもなければ、昇給も賞与もあるけど

介護の仕事を始めた時は、直接雇用のパートタイマーだった。時給は1000円。しかしそこで使い物にならない私は勤務を減らされてしまい、掛け持ちせざるを得なかった。
そこで選んだ得意な入浴介助の専門スタッフの仕事。午前のみの3時間半契約にも関わらず、時給が1325円に処遇改善を乗せた1402円。自分の得意を活かして稼ぐという働きかたが始まった。そして派遣を知り、介護職派遣という働きかたになった。

介護職派遣という働きかたを始めて、もうすぐで3年になる。今の勤務先は3ヶ月毎に更新の連絡が来る。その時期になると命の危機というくらい追い詰められる気持ちになる。
正社員なら更新はないし、昇給も賞与だって自動的に出る。正社員で働く友人に月給、昇給、賞与の話を聞いて羨ましくなる時もある。親孝行だなと思う。たくさん使えるお金があるなと思う。
しかし私は我慢はしたくない。給料より自分を選んだ。

後悔はない。時間の余裕を手に入れ、目標を見つけられたから

今のところ後悔はない。
娘の為の時間の確保が安易になり、シングルマザーだからと我慢させなくても良い。パートナーや友人とも予定が立てやすい。かがみよかがみに出会えて毎月作品を応募するという楽しみも出来た。
経済的な余裕はないが、時間の余裕があるから楽しいのだ。

そして新しい目標が見つかった。
介護職派遣を続けながら、エッセイストとして働きたい。
毎月作品を応募していて、採用の連絡が来る度に湧き上がってくる自信。自己肯定感が上がるような感覚がする。自分が認められていく優越感。
難しい世界ではあるが、自分を主張出来るのではないか。自分自身が商売道具になるのではないか。
ひとり楽しい空想に浸りながら、今日もまたエッセイを書く。